デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)の割り切れない魅力を語る【導入編】

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『22/7』というアイドルグループをご存知でしょうか。発足当時に話題になったのと、最近は露出も増えつつあるため、見聞きしたことがある方もいるかと思います。逆に、そもそも読み方が分からないという方も多いかもしれません。

 

22/7(ナナブンノニジュウニ)とは……

秋元康×Sony Music Records×Aniplexがタッグを組んだデジタル声優アイドルグループ。20161224日に全国応募10,325名の中から選ばれた11名で結成。20179月にデビュー。デビューシングルはオリコンウィークリーチャート初登場10位、セカンドシングルは初登場8位を記録。アニメ化も発表されており各界から注目を集めるアイドルグループ。 

DISCOGRAPHY | 22/7(ナナブンノニジュウニ)「理解者」より引用

 

22/7(ナナブンノニジュウニ)は、秋元康氏が総合プロデュースを務めるアイドルプロジェクトで、11人のキャラクターと、その声を担当する11人のキャストが活動しています。最近では公式略称が『ナナニジ』に決定しました。二次元での展開に留まらず声優によるライブ等が行われており、『ラブライブ!』シリーズに代表される、二次元アイドル(2.5次元アイドル)の系譜に位置付けて考えるのが一先ずはわかりやすいでしょう。

この記事はそんな22/7について紹介していく内容になっています。詳しくは後述しますが、活動形態が特殊なので取っ付きにくい面もあるかもしれません。しかし前例のない新しいことに挑戦している、非常に可能性に満ちたグループです。私自身、追いかけ始めてからの歴は浅いのですが、彼女たちを知ってもらう機会を作れればと思い、未熟ながら紹介記事を書いてみました。

好き放題書いていたら結構なボリュームになってしまったので、テーマごとに記事を分割して投稿する形式にしています。この記事はタイトルの通り【導入編】となっており、22/7の概要や特徴についてまとめています。【デジタル編】【声優アイドル編】【音楽編】という記事も順次追加予定なので興味が湧いた方は是非読んでみてください。

 

 

制作スタッフ

冒頭で引用した通り、22/7は”秋元康×Sony Music Records×Aniplexがタッグを組んだデジタル声優アイドルグループ”、あるいはそのプロジェクトの総称です。

秋元康氏と言えばAKB48乃木坂46欅坂46といった、日本を代表するアイドルのプロデュースで有名です。Sony Music Recordsは前述の乃木坂46と欅坂46を擁するレーベルであり、秋元康氏とのタッグで数多のヒット楽曲を世に送り出しています。この二者の存在は、”アイドル”をプロデュースしていく上で大きな強みだと言えます。

Aniplexは、数多くのヒット作品を生み出しているアニメ制作会社”A-1 Pictures”の親会社です。ゲーム事業においてもFate/Grand Orderといったヒットタイトルを手掛けており、アニメ系コンテンツ業界の言わずと知れたリーディングカンパニーです。

 

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(画像:22/7(ナナブンノニジュウニ) (@227_staff) | Twitterより)

また、22/7には11人のキャラクターが存在しますが、各キャラクターデザイン原案を異なる有名イラストレーター陣が手がけています。ミュージックビデオ等におけるメインキャラクターデザインや短編アニメーションの作画監督は「けいおん!」で知られる堀口悠紀子氏が担当するなど、”アニメ”の分野においても盤石の布陣です。

権威付けをする訳ではありませんが、関わっているスタッフ陣を見ても、非常に大きな期待を背負ったプロジェクトであることが見て取れます。ノウハウは勿論のこと、コンテンツの発展と継続に欠かせない資金面に関しても不安は小さいと言えるでしょう。

 

デジタル声優アイドルグループとは?

22/7に関わるスタッフについて紹介してきましたが、肝心のプロジェクトの中身やグループの活動内容はどのようなものになっているでしょうか。

22/7はアニメ化が発表されていますが、原作となる小説やシナリオが用意されている訳ではなく、”物語”に当たる文脈を殆ど持っていないのが現状です。しかしキャラクターたちがアイドルであることは明確であり、アニメでも彼女たちのアイドル活動が描かれることは間違いないでしょう。

キャラクターがアイドル活動をするとなれば、やはり既存の様々な二次元アイドル作品が連想されるかもしれません。実際、22/7を広義の二次元アイドルとしてカテゴライズ可能であることは冒頭でも触れた通りです。

しかし一方で22/7の展開は、従来の二次元アイドル作品のレールから大きく外れていると言えます。その説明のためにも、これまで何度か登場している”デジタル声優アイドルグループ”という言葉を紐解いていきたいと思います。

 

”デジタル”の展開 

22/7には11人のキャラクターと、各キャラクターを担当する11人のキャストが存在します。このキャラクターたちには3DCGモデルが用意されており、モーションキャプチャ技術によってキャストの動きが反映されています。

キャラクターに3DCGモデルが付与されるというのは、最近では決して珍しいことではありません。しかしそれらが登場する場面はあくまでも限定的で、フィクション世界における演出技法の一つとして使われることが大半であるように思います。代表的なものではアニメ劇中のライブシーンや、楽曲PVのダンスなどでしょうか。

そんな中で、22/7のキャラクターは3DCGモデルでの活動が中心であり、数としても非常に多くなっています。【デジタル編】で詳しく述べる予定ですが、この3DCGモデルの身体を持ったキャラクターたちは、ミュージックビデオや現実でのライブでダンスを披露していたり、バーチャルYouTuberとして活動していたり、はたまた地上波放送の冠番組でスタジオトークを繰り広げています。

彼女らの活動はその多くがフィクションの枠を飛び出しています。アイドルの物語を描くというより、もうキャラクターがそのままアイドルをやってしまっている訳です。

 

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(画像:22/7 『僕は存在していなかった』music video - YouTubeより)

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(画像:22/7 計算中 (@227keisanchu) | Twitterより)

 
メディアによってはリアルタイム性の強いものもあり、実在するキャラクターが独立して動いているかのように感じられる瞬間は何度もあります。22/7は”物語”を持っていないと前述しましたが、却ってそれが、フィクションでないリアルな現在進行の人格を視覚化するのです。根本的には別物だと思いますが、バーチャルYouTuberの在り方とも似ていると言えます。

従来にない実在性を持ってキャラクターたちが多方面メディアで活躍している点が、デジタル声優アイドルグループの”デジタル”たる所以であり、22/7の特徴の一つであるとも言えます。

 

声優アイドル”の展開

22/7の特異さを決定付けるもう一つの特徴は、22/7が二次元のファンと三次元のファンの両方をターゲットとしたプロジェクトであるという点です。22/7のキャストが目標として挙げているのは「二次元と三次元を繋ぐ存在、アニメ・声優のファンとアイドルのファン両方に愛される存在になること」です。

22/7のキャストは、第一にキャラクターの声を演じる声優です。上述したように、キャラクター3DCGモデルの動きは、キャストの動きをモーションキャプチャ技術で再現したものになっていますから、声だけでなく動きや仕草などもキャラクターを意識して演じる必要があります。キャラクターの実在性は、キャストの演技によって担保されています。

特筆すべきは、そんなキャストがアイドルとしての活動も本格的に行っているということです。第一に声優でありながら、第一にアイドルでもある訳です。アイドルとしての活動を前提としたオーディションを勝ち抜いているだけあって、キャスト陣のビジュアルのレベルが非常に高い点は無視出来ない魅力と言えるでしょう。

 

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(画像:22/7(ナナブンノニジュウニ)より)

活動内容の詳細は【声優アイドル編】に譲りますが、22/7はアイドルユニットが集うフェス形式のライブにも参加してパフォーマンスをしますし、CDの発売に合わせて握手会を開催するなど、純アイドルに近しい活動を行なっています。

アイドルフェスを例に出せば、観客の大半はアニメや声優に馴染みの薄い人たちになるでしょう。それはキャラクターやアニメ文化という後ろ盾無しに観客と相対するということであり、純粋にアイドルとして魅力的なグループであることが求められることを意味します。実際、22/7のライブにおいて、二次元アイドルのライブで多く見られるような、”生身のキャストがキャラクターになり切ってステージに立つ”という光景はありません

私がアニメ・声優のファンなのでこのような書き方をしましたが、逆のパターンもあり得るでしょう。アイドルファンの前では定石のやり方が、アニメファンには通用しないこともあるはずです。異なる界隈へ展開していく労力は計り知れませんし、中途半端なやり方ではどっち付かずの状態になってしまうことも考えられます。文化の摩擦やアレルギーなどセンシティブな問題も潜んでいるかもしれません。

それでも少しずつ両者へのアプローチが実っていけば、アニメファンとアイドルファンが入り混じった、22/7独自のファン層が形成されていくでしょう。まさに双方のファンを繋ぐ存在になる訳です。声優もアイドルも両方本気でやる、双方のファンに本気でリーチしていく、というのがデジタル声優アイドルグループの”声優アイドル”に込められた意味だと思います。

 

キャラクターとキャストの二人三脚

”デジタル”と”声優アイドル”それぞれの視点から22/7について語ってきました。実在性を持った11人のキャラクターと、声優だけでなくアイドルとしても活躍する11人のキャスト。二次元と三次元それぞれでアイドル活動をしていく、という前例のない試みであり、今後どんな未来が待っているのか予想出来ない点が、怖いと同時に面白いところです。

そして何より、11+11=22人が異なる舞台で奮闘し、共に成長していく姿を見られるのが、このプロジェクトの醍醐味でもあると思います。”物語”を持たない22/7ですが、現実世界での活動を通して生まれる、筋書きの無い様々なドラマが、そのまま彼女たちの”物語”となっていくのかもしれません。本来、アイドルとはそのようなものである気もします。

イデアとしては似たようなものが存在しているのかもしれません。それでも、業界を代表するスタッフ陣がこのプロジェクトを進めているというのが凄いところです。プロの大人たちが前例の無いところから、”デジタル声優アイドルグループ”という壮大なものを本気で作っている訳です。この熱意がどこまで届くのか、届いたときに果たして何が起こるのか、注目に値するのではないかと思います。

 

おわりに

【導入編】ということで、ちゃんと導入になっていたかはわかりませんが、この記事の内容は以上となります。抽象的な話が多くなってしまいましたが、挑戦的で見所のあるプロジェクトであることが伝わっていれば幸いです。

更に具体的な話として、キャラクターに焦点を当てた【デジタル編】、キャストに焦点を当てた【声優アイドル編】という記事を作成予定です。それぞれが活躍しているメディアを紹介しつつ、そこから見えてくる魅力を語っていく……みたいな内容になっているので、お時間あればぜひご覧ください。楽曲に着目した【音楽編】も作成予定です。

それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました。

 

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