くろろのたのしいディスカバリー(2021年11月)

 

アイの歌声を聞かせて(2021.11.3 視聴)

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『イヴの時間』や『サカサマのパテマ』で監督を務めていた吉浦康裕さんの最新作。前述の2作、特に『イヴの時間』は非常に好きな作品だったのでこの『アイ歌』も制作発表時から楽しみにしていた。

『イヴの時間』はロボットや人工知能の在り方といったSFに振られた作品で、扱うテーマも当時としては先鋭的だったし後の多くの作品に影響を与えたように思う。一方の『アイ歌』は、上掲のキービジュアルからも明らかだが、ゴリゴリのハードSFというよりもSF要素をソフトに散りばめてポップさとの融合を目指した作品だったと言えるだろう。

AI×吉浦監督と聞いてハードSFを期待してしまうと肩透かし感はあるかもしれないが、上述したポップさとのバランスという意味では絶妙・抜群だったと思う。100点を取れる人は80点を狙って取ることも出来るというか、そんなことを感じた。

作画も美麗で動きも滑らかだったし、アニメーションとしても素晴らしかった。主要人物が割と多いのだが、短い時間の中でも各キャラクターが魅力的にしっかり描かれていた。サブキャラクターと主人公・ヒロインの掘り下げのバランスも申し分ない。

劇中歌が印象的なタイミングで挿入される。いずれもBGMとしてではなく実際に劇中のキャラクターが歌う形式になっていて、ミュージカル的だという意見もちらほらあった。ただ荒唐無稽に歌っている訳でななくて、ストーリーの進行上でもその歌唱に意味を持たせてあるところが良かった。

ストーリーは青臭くもドラマチックかつハートフルでロマンチックで、AIという難しい題材を活かしつつながらもそれらの要素と違和感なく調和しているのが巧みだった。繰り返しになってしまうが、やはり100点を取れるからこそ、そこのバランス調整が絶妙なのだろうと思った。SFと同居するロマンチシズムに胸を打たれること間違いなし。

 

 

22/7 ANNIVERSARY LIVE 2021(2021.11.14 参加)

 

22/7の4周年記念ライブに参加。昼夜公演を通してメドレー等を挟みつつほぼ全曲を披露するという非常に精力的なライブだった。22/7はダンスのレベルが高くてライブの大きな見どころなのだが、全曲ライブでもそんな高カロリーのダンスをやり切っていて、改めてこのグループのパフォーマンスの素晴らしさを感じた。

3人が卒業を発表し、新規メンバーのオーディションが開催されるなど体制的に大きな転換点を迎えているナナニジ。卒業はいずれ訪れるものとは言っても、コンテンツにとっては戦力ダウンでもあるし言ってしまえば相当な痛手であると思う。それでも、二人を送り出すための素晴らしい公演を用意してくれたことに感謝したい。これは今年2月の帆風千春さんの卒業に際しても感じたことだ。

コンテンツの運営というのは何かと叩かれやすかったり非難の対象になりやすいものだと個人的には思う。ただ、運営と一口に言ってもその先には細分化されたチームがあって、更にその先には一人ひとりの人間がいる。俺はその人間と話したことがないし顔を見たこともないんだけど、エンタメの担い手として動いている彼らが、22/7を良いものにすべく奔走していることは疑いたくない。

仮にコンテンツを閉じるとするならばこのタイミングだったのではないかと現時点では思う。それでも存続の方向に舵を切ったのは、当然商業的な理由も多分にあるんだろうけど、このコンテンツで実現したいことや見せたい景色があってのことなんだと思いたい。実際、個人的にもまだ色んな可能性が22/7には眠っていると感じている。

自分は倉岡水巴さんを応援していたのでテンションが下がっていた面もあったのだが、ライブでは素晴らしい景色を見せてもらえた。卒業していくメンバーへの花道を用意してライブを成功させたそこには紛れもなく愛があったと思うし、運営の一人ひとりがエンタメに何かを捧げていないと作れないものだった。顔も知らない彼らが22/7を立て直さんとするその道筋を追いかけてみるのもいいかもしれない、そう感じる公演だった。

 

 

とらドラ!(2021.11.24 視聴)

 

いつか見ようとずっと思っていたのをようやく視聴。この時代のライトノベルは良かったなあと改めて感じることになった。別に異世界転生なんてしなくても、学園に魅力的なヒロインやキャラクターがたくさん出てくるドラマを描いてくれれば自分はそれでいいのだ。

全体的にキャラクターの魅力、奥行きが素晴らしかった。川島亜美が想いを打ち明けられないまま終わるというのも味がある、裏主人公だった。個人的には櫛枝実乃梨がかなり好きなキャラクターになった。最初は「竜二くん、なんでこんな女の子を……?」と思っていたけど俺が悪かった。道化としての姿がやり過ぎなのはご愛嬌。幽霊を見たいか見たくないかという話は全体を通しても非常に印象に残ったやり取りだった。

大河の父親がカスみたいな扱いで退場して、結局最後までそのままだったのは怖かった。終盤でまた掘り下げるものだと思ってたんだけどな。読んでないし検索で調べただけだけど、原作でも特段救済はないらしい。女性が書くライトノベル怖すぎる。

 

 

楠木ともり『Narrow』

 

楠木ともりさんのアーティスト活動についてはノータッチだったのだが、テレビ東京の『musicるTV』で特集されていたのを見て興味を持ったので聴いてみた。この『narrow』が良いEPだった。特に『タルヒ』は気に入った。シューゲイザー的な曲調と程良く抜けたボーカルのマッチングが素晴らしい。聴いていてFor Tracy Hydeを想起した。

 

 

Ado『阿修羅ちゃん』

 



こちらも上述のテレビ東京『musicるTV』でAdoさんが特集されていたのがきっかけ。Adoさんがインタビューを受けていて、自分はそこで初めてAdoさんが喋っているのを聞いたんだけど、典型的な陰キャ女子という感じ(超失礼)で『うっせえわ』の歌声から想像していたイメージとは物凄くギャップがあって驚いた。

というのもあって色々聴いていく中で、もはや既リリース曲の殆ど全部を好きになってしまった(ちょろい)のだが、最新リリースだった『阿修羅ちゃん』の話を。Adoさんのボーカルはドスの効いたがなり声、ハスキーボイスから張りのある高音まで音域が広く、更にはその切り替えが一瞬で出来てしまうのが凄いなと思うのだが、この『阿修羅ちゃん』は特にその魅力が出ているように思う。

「どーどー閻魔様さえ食らって」の部分は非常に爽快でお気に入り。2番のラップ部分の歌詞は韻の踏み方が凄くて感激した。Adoさんは1月にフルアルバムを出すようなので楽しみ。Adoさんって未成年なんですね。Adoさん……いや、Adoちゃん……。

 

 

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くろろのたのしいディスカバリー(2021年10月)

 

 

TOKYO IDOL FESTIVAL 2021(2021.10.1〜10.2)

 

最大級アイドルフェスことTOKYO IDOL FESTIVAL。前年はオンラインでの開催だったが今年はお台場でリアル開催。不運にも台風の影響で1日目の公演は中止となってしまったが、2日目、3日目は無事実施の運びとなった。2日目には22/7が参加していたので現地参戦。また後述するがバーチャルTIFに22/7とえのぐが参加していたのでこれも配信ライブを試聴した。

 

①22/7 リアルステージ

海乃るりさん、倉岡水巴さん、武田愛奈さんが卒業を発表して以降初めてのライブ。持ち時間15分のステージが二つ用意されていた。

感情はこんなにも赤裸々に歌声に現れてしまうのか、という場違いな感想を抱いた。こう言い切るのはどうかとも思うけど、精彩を欠いた歌唱だったように感じた。笑顔を一切出さないメンバーも居たりとあからさまだ。その一方で普段通りに、むしろ普段以上に明るく努めるメンバーも居て何とも歪なステージになってしまっていた。フェスなので内情を知らずに見にきているお客さんも当然居たと思うのだが、魅力的に映ったとはあまり思えない。

プロなんだからそこは乗り切らないと、と思う反面、状況が状況だけに悪く言うことも出来ない。アイドルである前に人間なのである。ともかく壮絶な15分間だった。

 

②22/7 バーチャルTIF

TIFでは去年から「バーチャルTIF」というステージが追加され、こちらではバーチャルアーティストを招集しての配信ライブが行われるようになった。これに22/7のキャラクターたちが出演したのでこちらも試聴。

22/7のキャラクターライブは活動初期に一度だけ行われたことがあったようだが、それ以降は多くのファンに切望されながらも実現に至っていなかった。悲願のステージが遂に実現した格好である。

事前収録した映像を配信する形だったのでリアルタイム性が感じられなかった点は残念だった。またキャラクターモデルはナナオンの3Dモデルから大きな差が感じられず、またダンス中のカメラワークが常に引きの画でキャラクターの表情があまり見えなかったりと、強く期待していたのも手伝って手放しで満足出来るものでは無かった。

ただクオリティ云々はさておいて(じゃあ文句言うな)、22/7というコンテンツに求めていたものが形になったことがそれだけで嬉しかった。特にキャラクターが自己紹介しているところは良かった。

 

③えのぐ バーチャルTIF

VRアイドルえのぐもバーチャルTIFに登場していた。実はえのぐは現地ライブにも出演する予定で、リアルTIFとバーチャルTIFのダブル出演という史上初の快挙を成し遂げるはずだったのだが、リアルTIFに出演予定だった1日目が台風で中止になってしまいそれは叶わなかった。最も動員が多いメインステージに出演する予定だったので非常に惜しい。

しかしその逆境をエネルギーに変える形で、バーチャルTIFで躍動する姿には強く心を打たれた。25分間という限られた時間の中で、メドレー形式のセットリストを披露。その選曲はアッパーな楽曲からバラードまで幅広く、観客全員にえのぐというグループの魅力を刻み付けようという強い意思を感じた。

メドレーについても1コーラス目を一辺倒に順番に歌うのではなく、それぞれの楽曲の見せ場となる部分を厳選して組み込むという構成になっていたのが良かった。この構成はおそらくメンバー4人が主体的に考えたもので、自身の楽曲への理解度や自信があるからこそ為せるものであるように感じた。MCは必要最低限に抑えられていたが、そこでも彼女たちの目標とする夢を真っ直ぐに語っていて、TIFという場に賭ける想いが伝わる良いステージだった。

こうしたフェス形式のライブで、1分1秒を無駄にせず全力でやり切る姿勢は素晴らしいと思う。それは今年の1月の『VTuber Fes Japan 2021』の時にも感じさせてくれたことだ。

 

 

 

Elira Pendra

 

NIJISANJI ENのバーチャルライバー。基本的には長時間ゲーム配信などをやっている。英語の勉強にもなるかなと思ってちょくちょく見るようになった。配信時間がとても長いので全部追いかけるのは諦めているが……

にじさんじ海外勢の中では格段に日本語が上手で、日本語で話すタイミングも結構あって安心感がある。高難易度ゲームでミスをし続けても黙々とチャレンジし続けるストイックさは本人の真面目で可愛らしい性格とはギャップがあっていい。鈴原るるさんのようなネジの外れ具合を感じる。

 



ユニットで楽曲も出していて、この楽曲が綺麗で良かった。英詞に引っ張られているだけかもしれないけどELISAっぽいなと思った。

 

 

富士葵『チョコレート』

シンビジウム

シンビジウム

  • アーティスト:富士葵
  • インディーズ
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富士葵さんのアルバムを聴いていて気に入った楽曲。リリース自体はもっと前だったけど。

ピアノの音色が綺麗で印象的。ボーカルも優しく繊細で、しっとりと静謐な楽曲になっている。富士葵さんの歌声は力強い楽曲にも似合うけど、こういう楽曲でビブラートの効いた伸びのある歌声をたくさん聞きたい気持ちも強くある。

 

 

スピッツSPITZ JAMBOREE TOUR 2021 “NEW MIKKE” THE MOVIE」(2020.10.8 視聴)

 

スピッツのライブ映像が期間限定で劇場で上映されていたので見に行った。

ライブ映像を見るのは初めてだったが、黙々とカッコいい演奏や歌唱を届けようという姿勢が垣間見えて、ロックバンドだなあという印象を抱いた。ポップス的なイメージも少し抱いていたけどそれが明確に上書きされた気がする。ライブなのでパフォーマンスとしての魅せ方もありつつ、やはり一番は音楽を届けることが念頭にあったと思う。当たり前なのかもしれないが。

 

 

キミに贈る朗読会 サトラレ~the reading~vol.8(2021.10.10)

 

元22/7の帆風千春こと千春さんが朗読劇に出演。本人の情熱と実力もさることながら、響という大手事務所、更には自らカミングアウトした姉妹関係の話題性もあって、女性声優として良いスタートを切れたのではないかと思う。とてもおめでたい。

これまで朗読劇のイベントというのは参加したことがなかったのだが、小さな会場だったことも手伝ってか、マイクなしの生声を聴くことが出来たり現場の緊張感なども感じられて非常に楽しかった。

千春さんがトラック運転手を演じるシーンがあり、汚い言葉で怒鳴り散らかしていたのが良かった。

 

 

ミッドサマー(2021.10.12 視聴)

ミッドサマー(吹替版)

ミッドサマー(吹替版)

  • フローレンス・ピュー
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アマプラで試聴。超絶おもしろかった。TL内を検索したら公開当時に結構話題になっていたようだったが、読み流していたのか記憶にあまりなかった。

『明るいホラー』というのがキャッチコピーのようだがそれが非常に似合っていた。中盤以降は明らかにヤバイ映画だということが分かってくるが、序盤辺りから絵やモチーフをちらりと見せることで不穏な空気を少しずつ充満させていくのが巧みでゾクゾクとした。映画館で集団で見ていたら凄い空気になってそうだ。ヘレディタリー継承も見たいところ。

 

 

銀岩塩vol.4-5 FUSIONICAL STAGE「ABSO-METAL~黎明~」(2021.10.23 観劇)

 

22/7の海乃るりさんが出演していた舞台。1公演だけだが見に行けた。男性キャストが多く客層も女性が多めだった。アブソメタルシリーズはこれまでにもいくつか公演があったようで、ストーリーも地続きになっているらしい。

今回の『黎明』を見ての感想として非常に脚本が面白かった。アブソメタルという設定が地盤にあることもそうだが、青春的な甘酸っぱさ、命を賭けた闘いにおける熱さ、同時に冷酷さなど、様々な要素が詰まっていて興奮した。終盤、仲間の想いを背負って戦う主人公の姿にはうるっときた。『黎明』はこれまでのエピソードと比較すると過去編的な位置付けだそうだ。『黎明』で悪役として登場したキャラクターと主人公が最終的に手を組むことになるが、先のエピソードでは二人が正義として振る舞うことになるのだろう。別エピソードも見てみたい。

演技面でも主役男性二人については声量や迫力が凄まじくて感情に訴えかけるものがあった。海乃さんは声量的に少し押されている感じはしたが、低く威圧的な声がなかなかキマっていた。海乃さんが高台で仁王立ちして観客を見下ろすようなシーンがあり、これ俺の好きなやつじゃんってなりました。

 

 

えのぐ 個別トーク会(2020.10.10, 10.30)

BRAVER

BRAVER

  • アーティスト:えのぐ
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BRAVER発売記念のトーク会に参加。白藤環さんは人気だったので売り切れてしまったが、それ以外のメンバーとは2回ずつくらいお話出来た。Zoomを用いたトーク会で、CD購入1枚あたり30秒くらい会話が出来る。坂道系のそれと比較するとかなりお得ではある気がする。

特段踏み込んだ話はしていないけど、ともかく応援してることを伝えられたので良かった。こちらの言葉を受けてとても喜んでくれるのが嬉しい。ライブの印象が強かったけど、実際に話してみると良い意味でアイドルだなあと感じさせられた。中でも夏目ハルさんは釣り力が高かった印象です。

YouTubeでの配信などで用いられているモデルと空間だった。ライブ中に使われているそれとは少し違っていて、表情の変化などが見えやすい。リアクションが表情にも出るので、直接話している実感が得られてとても良かった。

キャラクターと会話したのは22/7の藤間桜さん以来だったが、あの場合は向こう側に天城サリーさんがいてお互いがそれを認識しているという前提があったので、そういう意味では今回が初めてだったと言ってもいいかもしれない。とても良いものでした。

 

 

 

DISCOVERY

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くろろのたのしいディスカバリー(2021年9月)

 

Life Like a Live!2(えるすりー)(2021.9.18-9.20)

 

別記事作成済。配信ライブながら非常に満足度の高いものだった。

 

 

えのぐインターネットサイン会(2021.9.21 開催)

 

えのぐの最新シングルBRAVERが発売。その発売記念インターネットサイン会が開催されていたので応募して参加した。なんと43:20と45:13辺りで私の名前が呼ばれています(照れ)。メンバー間の仲の良さも感じられて良いものである。

バーチャル存在のサイン入りCDというのも不思議なものだが、思っていた以上に質量が感じられて感動した。CD実物を大切に所持していたいという気持ちが生まれる。

22/7だとCDを買うとサイン入りのポストカードが貰えたりというのがあるのだが、やっぱりCDにサインが入っている方が嬉しいなと思った。規模が大きくなると刷版や出荷スケジュールなどもあってCD実物にサインするのは難しいのかもしれないが。

 

 

星宮とと『タイムサーフ』

タイムサーフ

タイムサーフ

  • TEMPLIME & 星宮とと
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ボイスドラマと音楽作品をミックスさせた形式の一枚。ボイスドラマの中で少女二人が音楽制作を行なっていて、ストーリー展開に合わせて楽曲トラックが差し込まれていく形式になっている。

TEMPLIME作曲の楽曲が非常にいい。そしてストーリーも意見が分かれるような顛末を迎えていて意欲的な脚本だなと思った。アルバム名にもなっている『タイムサーフ』や『デジタルタトゥー』など各楽曲のタイトルも憎い。

 

 

ドライブ・マイ・カー(2021.9.19 視聴)

 

村上春樹原作の別タイトルを映像化したもの。原作読んだことないですが。評判が良かったので見に行くことに。芝居をすること、何かを演じることというテーマが根底に流れている。

村上作品の登場人物は言葉の言い回しなどが個性的で、小説ではそれが良い味になっていても映像になると浮いてしまいがちな印象がある。しかし今作は劇中劇が同時進行するのでその違和感が払拭されていた。演技を軸に進む作品を我々が意識しながら、させられながら観ている共犯関係が常にあり、それが免罪符になっているというか。

何かを演じている瞬間、何かに乗り移っている瞬間、何かに突き動かされている瞬間であってもそこには人間がいて何かが起こっている。本作内で似たような言葉が語られるが、その言語化出来ない微妙な揺らぎや高揚を本作はフィルムの中に写し撮らんとしていたのかもしれない。ストーリーはあるしむしろ大きく動くのだが、そこに没頭していた時間は少なく。静謐な画面の中でカメラと演者の一挙一動を見逃すまいと固唾を飲んでしまう、そんな作品だった。

 

 

9月は新職場での勤務が始まってそんなに余裕が無かったのでディスカバレッジ低いかも。

 

 

 

Life Like a Live!2(えるすりー2)に参加した話

 

Life Like a Live!2(えるすりー)

 

通称"えるすりー"こと"Life Like a Live!"に参加した、というか配信を見ました。VRアイドルを中心とした参加者で構成されたフェス形式のライブイベント。VR空間をライブステージとしたリアルタイム配信ライブで、2020年にも開催されていたようだ。今回は2回目の開催ということでタイトルにも2がつく。参加アーティストを入れ替えつつ、2021.9.18-9.20の3日間、計5公演が行われた。

情報発信しているプラットフォームなどがチープめだったので若干不安だったが、実際にライブを見たら配信技術は確かで、バーチャル空間ならではの演出やカメラワークなども見られて満足度の高いものだった。チケットは決して安くはなかったし全公演見ようものならかなりの額になるのだが、注目度も高いようでお客さんもかなり居たようである。

えのぐやGEMS COMPANYが参加しているということで、参加している公演を中心に購入して鑑賞。えのぐは基本的にユニットでの登場、披露したのもオリジナル楽曲のみだったが、他のグループだとメンバーを選抜してコラボユニットでカバーソングを披露していたりと、フェスらしい光景が見られた。

 

    

えのぐはVRアイドルの中でもライブパフォーマンスのクオリティが高く、一定の評価を得ていることが感じられた。実際、こうしたフェス形式のライブにおける魅せ方に関しては卓越していたし、自分たちのホームグラウンドでなくても観客の心に訴えかけようという気概がひしひしと伝わってよかった。

VR空間でのライブということで、カメラワークの自由度が上がっていたのも素晴らしかった。えのぐはライブ会場現地に集客してそこでライブをすることが多く、自分がこれまでに参加したことがあるのもその形式が多かった。そこではステージ上に膜のようなスクリーン張られていて、そこに投影された3Dモデルがリアルタイムでパフォーマンスを行う。この形式では縦と横の動きは見えても奥行きの動きについては見えづらい面があった。つまるところX軸とY軸は○だがZ軸が×だった(これに関しては生身の人間が行う通常のライブにおいてもZ軸は△くらいであろうが)。

ただVR空間となればカメラワークも自由自在。真上から撮ったり、演者に接近して撮ったりといったことに対する制約もない。えのぐの『アンプリファー』には演者4人が輪になってグルグルと走り回る振り付けなどがあるがこれのZ軸の動きが見られたのは非常に嬉しかった。GEMS COMPANYの『夏色DROPS』、『ゴールデンスパイス』といった好きな曲のパフォーマンスが見られたのもよかった。

 

    

注目外のアーティストとしてはまりなすとPalette Projectも印象に残った。まりなすは今年の1月に開催された『VTuber Fes 2021』にも参加していて、当時は荒削りな印象を受けたのだがモデリングが大きく向上していて可愛らしくなっていたように思う。avexレーベルということも関係してか各楽曲とも古き良き太めの打ち込みサウンドが印象強く、コンセプトの統一性は良いなあと思った。

パレプロはカラーを掴み切れていない部分があるのだが、グループ内でユニットを複数持っていて、その中でシティポップ路線を追求しているユニットが非常によかった。全体曲の『君がいるから』は特徴的な振り付けも相まってかなり気に入った楽曲。

他にも気になるアーティストが出来たので良かった。この場で深く知れていなくても今後こういったフェスで「あの時見たことがある」という風になれば段々と興味が深まっていくものだと思う。ジェムカンについても、2020年初頭にフェスで見た時は「なんか新しい形態のグループがあるなあ」という程度の印象だったものだ。根気よく活動を続けることがレッドオーシャンになりつつあるV業界においては重要なのだろう。

 

くろろのたのしいディスカバリー(2021年8月)

 

えのぐ「enogu 10 Days Live -遮二無二-」(2021.7.25 - 2021.8.5)

 

 

別記事を作成済み。ここに書いてたら長くなったので切り出した形。灼熱の10日ライブ、熱かった。

 

 

天津向のエクストラパーティー(2021.8.1)

 

天津向さんの個人チャンネル『ムカイワークス』のリアルイベント。ムカイワークス内の企画「1時間空きました」には22/7メンバーが何人か出演したことがある。更にはコロナ情勢で延期となったが過去に涼花萌さんと武田愛奈さんがリアルイベントを開催しようとした経緯があるので今回はそのリベンジ的な意味合いもあるだろう。

倉岡水巴さん、武田愛奈さんが出演。二人ともめちゃくちゃ緊張していた。放送事故と言っても過言ではないものになっていたが、ある意味でそれもナマモノだと思えば貴重だった。筋書きがあって面白みもなくその通りにのっぺりと終わっていくよりはよっぽどいいと個人的には思う。

 

 

竜とそばかすの姫(2021.8.9 視聴)

 

仮想現実世界の映像美が素晴らしかった反面、キャラクターたちが舞台装置になってしまっていたのが残念だった。脚本の都合やその後の展開のために不自然な行動だったり人間味のない行動をさせられるキャラクターには魅力が感じられない。美術面が優れていただけに惜しいと感じてしまう作品だった。

 

 

月ノ美兎『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』(2021.8.11 リリース)

 

二次元の女の子が歌う楽媒体といえば、キャラクターソング、あるいは作中で音楽活動(アイドル)をしているキャラクターが現実世界で楽曲をリリースする体のプロデュースをする……とそれが主だった。ここでいうキャラクターとはいずれも脚本のある言葉を喋り、閉じた物語の中で動くキャラクターである。

バーチャル存在は二次元キャラクターという体裁を確保しつつも上記の定義に収まらない。つまるところ脚本がなくともそこに存在して言葉を紡ぎ、現実のファンと交信しながら歴史を積み上げていく。そんなキャラクターのために書き下ろされた歌詞には従来のキャラクターソングとはまた異なった味わいがある。

バーチャルライバーである月ノ美兎の活動は長時間配信が主であり、特に彼女はそこで自身のクリエイティビティを強く全面に押し出したスタイルの配信を行う。彼女の言葉に、彼女の芸に我々は簡単にアクセス出来る。そのアクセシビリティとボリュームは圧倒的だ。好きなアーティストが自分の居場所で語る言葉を、どれ程聞いたことがあっただろう。蓄積された言葉の数々から滲み出る人間性とそこに宿ったドラマ、それらを力のある作曲家が魅力的な楽曲群へと昇華した素晴らしいアルバムであり、キャラクターソングのプロデュースという点でエポックメイキングにもなり得る大作だと言える。

『浮遊感UFO』は歌詞も相まって一番お気に入り。「なぜみんな私見てるのだろう?私何に見えてるんだろう?」という歌詞がメタくてハッとさせられる。錯覚を自覚しても決してそれが偽物にはならないこと、その奇妙な共犯関係。音像的には聴いていて花澤香菜の『マラソン』を思い出した。

 

 

空の青さを知る人よ(2021.8.15 視聴)

空の青さを知る人よ

空の青さを知る人よ

  • 吉沢亮
  • オススメ度: ★★★★☆☆☆☆☆☆
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終盤で何故か主題歌をBGMとした空中散歩が始まり、自分の中では全てが台無しになってしまった。これは『君の名は。』と『天気の子』がもたらした負債と言っても良いのではないかと思う。それとも俺の想像力がそっちに引っ張られているだけか?

落胆したのは事実だが、それまでのキャラクター描写や置かれたコミュニティなどのリアリティは非常に良かった。変化に踏み切らず地元に留まること、夢を追いかけて辿り着いた先が決して理想通りとは限らないこと、非常に現実に根ざしたテーマだった。

背景美術も非常に美しく、フィクションではあるもののこんな人間ドラマが現実のどこかで本当に起こっているのではないかと思わせる手触りがあった。それだけに唐突な超現象ファンタジーが挟まった時は興醒めしてしまったし惜しいなと感じた。

 

 

JUNNA ROCK YOU TOUR 2021 〜20才の夏〜(2021.8.19)

20×20(通常盤)

20×20(通常盤)

  • アーティスト:JUNNA
  • フライングドッグ
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延期に延期を重ねたライブにようやく参加。端的に言うならば怪物だった。JUNNAのプロデュースについてはロック路線への一辺倒という感じで、ポップから遠ざかっていく感じが勿体ないなあと思っていたのだが、ライブで歌声を聞いて納得する自分もいた。

この歌声に繊細な音楽は似つかわしくないと感じたのだ。気品云々より歌声のパワフルさ、ダイナミックさを生かした音楽が似合う。というよりも、そうで無ければ楽曲それ自体が歌声に呑み込まれてしまいそうだ。ライブは生バンドでの大音量だったが、それらでさえ凌駕する音圧の力強い歌声。貧弱な音ではかき消されてしまうだろうと思った。歌声との調和でなく、後方から援護射撃するようなイメージ。この怪物を暴れさせるにはこの方法が一番なのだろうと思った。

『イルイミ』を聴けたのも嬉しかった。何となくアレンジが違っていたのか、ハードルを上げすぎていたのか、「なんか違うな」感を抱いてしまったのは心残りだが。

 

 

ラブ&ポップ(2021.8.21 視聴)

ラブ&ポップ

ラブ&ポップ

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庵野秀明の初実写作品。作品を見るときに監督が誰だからという見方はあまり好みでないのだが、本作はどうしたってそう捉えてしまう部分があった。やはり執拗にこだわり抜かれたカメラアングル。普通のアングルで撮ることを意地になって拒否しているのかとさえ思わせる。

主題は援交女子高生、当時の時代性が透けて見える。家族の前で見せていない自分、汚れていく自分。でもそれよりも欲しいものがあったり、キラキラしたものが彼女たちの目には見えていて、だからこそ無鉄砲に飛翔出来る。そこで痛い目を見ることで変化していくのだ。

若かりし頃の仲間由紀恵さんがあまりにもマブすぎて恋のダウンロードが始まってしまった。

 

 

ever 17~the out of infinity~(2021.8.26 クリア)

ever 17~the out of infinity~

ever 17~the out of infinity~

  • キッド
  • オススメ度: ★★★★★★★★★☆☆
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ループ物の元祖と呼ばれる名作ギャルゲー。オタクなりたての頃からずっと気になっているが、やったことがないという枠の作品。色んな人にとってのこの枠に留まっている率が高い作品であるようにも感じる。2015年にDL配信が開始したようなのだが、それ以前はPSPなどハードの確保が大変だったようだ。

評判も良いし気になる、そんな作品に踏み込むための最後の一押しとはいったい何なのだろうか。自分の場合はよく話すオタクが最近やっていたからというのが決め手になった。

ネタバレ厳禁の作品なので詳細には触れないが、とにかく興奮した。事あるごとに引き合いに出されるタイトルで、絶賛されている声を聞いたのは一度や二度ではない。自分の中でのハードルも相当高くなっていたし、ぎゃふんと言わせてみろ的な良くない眼差しもあったが、悠々とそれを上回ってくる偉大な作品だった。

個人的には茜ヶ崎空ルートのテキストがかなり好きだった。人工知能との恋愛という現代では埃を被っているテーマも、当時はまだ先鋭的だったのかもしれない。花やカナリアは何のために生まれたのか?咲くことに、歌うことに、そこに意志はあるのか?では人は何のために?

 

 

@JAM EXPO 2020-2021(2021.8.28)


横浜アリーナで開催された大規模アイドルフェス。22/7を目当てに見に行った。フェス形式ということでステージがいくつかに分かれているが、最も大きなメインステージでの出演だった。2019年にも同会場で同タイトルの公演が行われていたが、その際はもう少し小さなステージでの出演だったので感慨深い。

セットリストに関しては内側に向いていたと感じる部分があった。キャッチーでなくても、根強いファンが盛り上がることを期待しているような。その光景を見た誰かが気になってくれればいいと。どこか宗教めいて映る可能性があると同時に、それこそがこのグループの本質でもあると個人的には思っている。合わせにいかずコアな部分を曲げないでやり通すことが、真の意味でのファンを生むのだろう。あるいはそのやり方しか出来ないのかもしれないと思う。

 

 

えのぐ「enogu one-man Live 2021 Summer -不撓不屈-」(2021.8.29)

 

『遮二無二』という武者修行を終えたVRアイドルえのぐが堂々と披露した生バンドライブ。キービジュアルが何ともまあ格好いい。昼夜公演で所有曲のほぼほぼ全てを披露し、そのパフォーマンス力をまざまざと見せつけた。

生バンドライブは初めての参加だったのだが『Armor Break』と『It's 笑 time!』が素晴らしかった。『アンプリファー』もよかった。いずれもベースが主張するグルーヴィな楽曲。特に『Armor Break』のベースラインは切れ目が細くなっていて、流れるように運ばれていく音が心地よかった。

VRアイドルが生バンドで現地ライブを行う、それを違和感なく当たり前のように受け入れている事実が既に凄い。次元の壁は崩れ去りつつあるように思う。

 

 

DISCOVERY

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  • アーティスト:Mr.Children
  • Toysfactoryレコード
  • オススメ度: ★★★★★★★★★★
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