くろろのたのしいディスカバリー(2021年11月)

 

アイの歌声を聞かせて(2021.11.3 視聴)

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『イヴの時間』や『サカサマのパテマ』で監督を務めていた吉浦康裕さんの最新作。前述の2作、特に『イヴの時間』は非常に好きな作品だったのでこの『アイ歌』も制作発表時から楽しみにしていた。

『イヴの時間』はロボットや人工知能の在り方といったSFに振られた作品で、扱うテーマも当時としては先鋭的だったし後の多くの作品に影響を与えたように思う。一方の『アイ歌』は、上掲のキービジュアルからも明らかだが、ゴリゴリのハードSFというよりもSF要素をソフトに散りばめてポップさとの融合を目指した作品だったと言えるだろう。

AI×吉浦監督と聞いてハードSFを期待してしまうと肩透かし感はあるかもしれないが、上述したポップさとのバランスという意味では絶妙・抜群だったと思う。100点を取れる人は80点を狙って取ることも出来るというか、そんなことを感じた。

作画も美麗で動きも滑らかだったし、アニメーションとしても素晴らしかった。主要人物が割と多いのだが、短い時間の中でも各キャラクターが魅力的にしっかり描かれていた。サブキャラクターと主人公・ヒロインの掘り下げのバランスも申し分ない。

劇中歌が印象的なタイミングで挿入される。いずれもBGMとしてではなく実際に劇中のキャラクターが歌う形式になっていて、ミュージカル的だという意見もちらほらあった。ただ荒唐無稽に歌っている訳でななくて、ストーリーの進行上でもその歌唱に意味を持たせてあるところが良かった。

ストーリーは青臭くもドラマチックかつハートフルでロマンチックで、AIという難しい題材を活かしつつながらもそれらの要素と違和感なく調和しているのが巧みだった。繰り返しになってしまうが、やはり100点を取れるからこそ、そこのバランス調整が絶妙なのだろうと思った。SFと同居するロマンチシズムに胸を打たれること間違いなし。

 

 

22/7 ANNIVERSARY LIVE 2021(2021.11.14 参加)

 

22/7の4周年記念ライブに参加。昼夜公演を通してメドレー等を挟みつつほぼ全曲を披露するという非常に精力的なライブだった。22/7はダンスのレベルが高くてライブの大きな見どころなのだが、全曲ライブでもそんな高カロリーのダンスをやり切っていて、改めてこのグループのパフォーマンスの素晴らしさを感じた。

3人が卒業を発表し、新規メンバーのオーディションが開催されるなど体制的に大きな転換点を迎えているナナニジ。卒業はいずれ訪れるものとは言っても、コンテンツにとっては戦力ダウンでもあるし言ってしまえば相当な痛手であると思う。それでも、二人を送り出すための素晴らしい公演を用意してくれたことに感謝したい。これは今年2月の帆風千春さんの卒業に際しても感じたことだ。

コンテンツの運営というのは何かと叩かれやすかったり非難の対象になりやすいものだと個人的には思う。ただ、運営と一口に言ってもその先には細分化されたチームがあって、更にその先には一人ひとりの人間がいる。俺はその人間と話したことがないし顔を見たこともないんだけど、エンタメの担い手として動いている彼らが、22/7を良いものにすべく奔走していることは疑いたくない。

仮にコンテンツを閉じるとするならばこのタイミングだったのではないかと現時点では思う。それでも存続の方向に舵を切ったのは、当然商業的な理由も多分にあるんだろうけど、このコンテンツで実現したいことや見せたい景色があってのことなんだと思いたい。実際、個人的にもまだ色んな可能性が22/7には眠っていると感じている。

自分は倉岡水巴さんを応援していたのでテンションが下がっていた面もあったのだが、ライブでは素晴らしい景色を見せてもらえた。卒業していくメンバーへの花道を用意してライブを成功させたそこには紛れもなく愛があったと思うし、運営の一人ひとりがエンタメに何かを捧げていないと作れないものだった。顔も知らない彼らが22/7を立て直さんとするその道筋を追いかけてみるのもいいかもしれない、そう感じる公演だった。

 

 

とらドラ!(2021.11.24 視聴)

 

いつか見ようとずっと思っていたのをようやく視聴。この時代のライトノベルは良かったなあと改めて感じることになった。別に異世界転生なんてしなくても、学園に魅力的なヒロインやキャラクターがたくさん出てくるドラマを描いてくれれば自分はそれでいいのだ。

全体的にキャラクターの魅力、奥行きが素晴らしかった。川島亜美が想いを打ち明けられないまま終わるというのも味がある、裏主人公だった。個人的には櫛枝実乃梨がかなり好きなキャラクターになった。最初は「竜二くん、なんでこんな女の子を……?」と思っていたけど俺が悪かった。道化としての姿がやり過ぎなのはご愛嬌。幽霊を見たいか見たくないかという話は全体を通しても非常に印象に残ったやり取りだった。

大河の父親がカスみたいな扱いで退場して、結局最後までそのままだったのは怖かった。終盤でまた掘り下げるものだと思ってたんだけどな。読んでないし検索で調べただけだけど、原作でも特段救済はないらしい。女性が書くライトノベル怖すぎる。

 

 

楠木ともり『Narrow』

 

楠木ともりさんのアーティスト活動についてはノータッチだったのだが、テレビ東京の『musicるTV』で特集されていたのを見て興味を持ったので聴いてみた。この『narrow』が良いEPだった。特に『タルヒ』は気に入った。シューゲイザー的な曲調と程良く抜けたボーカルのマッチングが素晴らしい。聴いていてFor Tracy Hydeを想起した。

 

 

Ado『阿修羅ちゃん』

 



こちらも上述のテレビ東京『musicるTV』でAdoさんが特集されていたのがきっかけ。Adoさんがインタビューを受けていて、自分はそこで初めてAdoさんが喋っているのを聞いたんだけど、典型的な陰キャ女子という感じ(超失礼)で『うっせえわ』の歌声から想像していたイメージとは物凄くギャップがあって驚いた。

というのもあって色々聴いていく中で、もはや既リリース曲の殆ど全部を好きになってしまった(ちょろい)のだが、最新リリースだった『阿修羅ちゃん』の話を。Adoさんのボーカルはドスの効いたがなり声、ハスキーボイスから張りのある高音まで音域が広く、更にはその切り替えが一瞬で出来てしまうのが凄いなと思うのだが、この『阿修羅ちゃん』は特にその魅力が出ているように思う。

「どーどー閻魔様さえ食らって」の部分は非常に爽快でお気に入り。2番のラップ部分の歌詞は韻の踏み方が凄くて感激した。Adoさんは1月にフルアルバムを出すようなので楽しみ。Adoさんって未成年なんですね。Adoさん……いや、Adoちゃん……。

 

 

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