アニメ『アポカリプスホテル』を5月頃に見始めたのだが、そのOP主題歌であるaikoの『skirt』が凄い曲だった。2024年8月に既にリリースされていた楽曲ではあるものの、リリース当初からOP主題歌として起用されることが決まっていたようだ。通常のタイアップとは違うパターンで珍しい。
序盤は『飛行機』とか『アンドロメダ』みたいな(知ってる楽曲を並べただけ)、不穏な鍵盤の音色とダウナーな声音がカッコいい。いわゆる不協和音で、マイナーコードとかドミナントコードとかその辺りの進行なのでは(知ってる単語を並べただけ)。この不安定なメロディにボーカルを載せている技術が凄い。
1番サビからはストリングスが合流して華やかな印象になってくるが、サビ終わりで「そのスカートは二度と履きません」と言い捨てると、またAメロの不協和音へと戻っていく。ストリングスはそのまま並走を続けて壮大さこそ増すものの、不穏な空気は立ち消えないどころか、壮大さとのアンバランスで一層際立って感じるのが不思議である。
2番サビにかけて再び華やかさを取り戻し、サビ終わりからはブラス・ホーンセクションも合流、ギターもソロパートから前面で主張し始める。ラストサビ、飛びポブリッジからは裏拍も加わってパレード然とした雰囲気へと進化。最終フレーズ「スカートは揺れる じゃあまたね」からは最高潮のクライマックスに突入、裏拍キックにブラスもスウィングして炸裂し、ノリノリで大団円へと向かっていく。
ともかく起伏の激しいジェットコースターのような楽曲と言わざるを得ない。不安定な序盤から乱高下を繰り返し、多幸感溢れるクライマックスに終着する目まぐるしい4分15秒。何度でも聴きたくなる魅力に溢れている。
これは歌詞に目を向けてみても同様で、「あなたは私の愛しい人ではもうありません」と言ってみたり「だけどあなたの気持ちを離したくなくて」と言ってみたり、スカートも要らなかったり大切だったりと、重要な決断を前にして揺れ動く、女性側の不安定な感情が現れているように感じる(単純化しすぎだと怒られるかもしれないが)。二人の関係への倦怠感、振り切って突き放す強かさ、モノに宿る思い出への未練と女々しさ、それに折り合いを付けた時の晴れ晴れしさ、どこを切り取って聴いても読んでも、色んな味がする楽曲である。
アニメ尺では1番サビの後にラストサビのクライマックスへと進行し、「そのスカートは二度と履きません」の強烈なフレーズも登場しないので、フル尺とは違ってポジティブな印象が強く残るのも面白いポイントだと言える。これはED主題歌の『カプセル』でも同様で、アニメ尺のしっとりとしたラスト以降、ドラマチックな展開を経てどんどんスケールしていく。アニメ尺に収まりきらない味わいが散りばめられた楽曲たちに感嘆とするばかりなのだった。
