花澤香菜『Opportunity』が史上最高という話

 

Opportunity(初回生産限定盤) (Blu-ray Disc付)

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Opportunity

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4ヶ月前に発売になったCDの話になってはしまうけど、花澤香菜さんの4枚目のアルバム『Opportunity』がめちゃくちゃ良い。

 

前作の『Blue Avenue』がニューヨークを意識したUSサウンドなアルバムだったのに対して、今作はロンドンをイメージしたUKサウンドでお届けされているらしい。正直言うと音楽に明るくないのでUSサウンドとかUKサウンドと言われてもあまりピンと来ない。Linkin ParkOasisみたいな感じか?

UKサウンドと打ち出されている以上はUKサウンドなのであり、UKサウンドがピンと来ていない人間の言論は本来封殺されているのですが、まあ良いものは良いのだからわからないものはわからないなりに書いていくしかない。先日行われたアルバム名を冠してのライブツアーに参加したので、その辺も少し思い出しながら。

 

花澤香菜『Opportunity』 楽曲リスト

 

1. スウィンギング・ガール
2. あたらしいうた
3. FRIENDS FOREVER
4. 星結ぶとき
5. 滞空時間
6. カレイドスコープ
7. 透明な女の子
8. Marmalade Jam
9. Opportunity
10. ざらざら
11. 雲に歌えば
12. FLOWER MARKET
13. brilliant
14. Seasons always change
15. Blue Water

 

爽やかなんだけど決して軽くはない、聴きやすいのに聴き応えのあるナンバーが揃っている。全体的にバンド色が強く、ベースとドラムの音が心地良い。特にスネアドラムは非常に光っている。ウィスパーボイスと評される花澤さんの透き通った歌声を支える、骨のあるしっかりとした音が全楽曲に敷かれている。

重すぎず軽すぎない、飽きの来ない洗練されたサウンド。適度な脱力感を備えたボーカル。アルバム全体で見たときの統一感というかまとまりも完璧で、何度でも繰り返し聴きたくなる魅力がある。

 

馴染みやすい楽曲群のなかで、2と6は少しアップテンポなナンバー。

『6. カレイドスコープ』はベースとドラムが作る力強いリズムと疾走感がたまらないのに加えて、随所に登場するブラスバンドが良い味を出している。ライブツアーで披露された際にはアウトロが最高のバンドアレンジになっていて、小節の区切りが来るたびにあと1小節だけ延長してくれという気分になった。

『2. あたらしいうた』はこの中だと最もアニソン風かもしれない。サビで強く声を張っているのはこの曲くらいだろうか。もしUOを焚くとしたらこの曲しかない気がする。シングルということもあって、他のアルバム曲群と比べると少しテイストが異なる印象。

『8. Marmalade Jam』は菅野ようこが作ってそうなジャジーな1曲。インスト群の魅力が前面に出ていて素晴らしい。アルバムの中では少し異質なビターな雰囲気を纏っている。

『11. 雲に歌えば』はリズミカルで可愛らしい楽曲。「トゥットゥル」やコーラス、印象的なブレスなど遊び心に富んだ素晴らしいポップソング。サビ部分には簡単な振りつけがついていて、ライブに参加した際は会場と一体になって踊った。家で聴いてるときもたまに踊ってしまう。

 

個人的に特にヤバいと思うのが5、10、15の3曲。

『5. 滞空時間』は最初聴いたときは「アルバムの真ん中あたりに入ってそうな曲」みたいな印象しかなかったんですが、ポップで軽快かつ独特なリズム感が癖になる中毒性の高い楽曲。印象に残るのはスネアのリズムとシンセサイザーで、激しく聴かせるような楽曲ではないが、これがライブだと化けに化ける。バンドサウンドにサックスとトランペットも加わって贅沢すぎる至福の音だった。

『15. Blue Water』は曲名の通り水の流れを思わせるヒーリングミュージック的な序盤から一転、途中からなんとEDMに変貌する。「ヒーリング→ダンスミュージック」という激ヤバムーブである。終盤の盛り上がり、音の濁流は大音量で聴くと本当に恍惚とする。これもライブでのバンドアレンジが素晴らしくて最高だった。ライブで一番身体が熱くなったのはこの曲。

『10. ざらざら』はシングルとして発表された曲で、これがとにかく一番ヤバい。

ストリングスに彩られた切ないメロディに乗せられるのは、くすぶったやり切れない感傷を綴った、毒々しく生々しい、胸が締め付けられるような歌詞。「切なくなれば切なくなるだけ 悔しいけど生きてるって思う」という歌詞にも象徴される、痛みがリアルな生を思い起こさせる感覚がそこにはある。

これをバラードとして成立させてしまうのが花澤香菜のスゴさである。フラットすぎても感傷的過ぎてもおそらく何かがズレてしまう、絶妙で危ういバランスの上にこの曲は成り立っている。数多のキャラクターを演じてきた花澤さんの表現力が存分に発揮された屈指の名曲だと思う。声の質という観点からも、トップ声優にしか歌えない楽曲である。女性声優アーティストの音楽は素晴らしい。

 

女性声優アーティストでポップス路線というと自分の中では坂本真綾さんや牧野由依さんが頭に浮かぶ。この分野では坂本真綾『Lucy』と牧野由依『マキノユイ。』が私的レジェンドアルバムであったが、花澤香菜『Opportunity』は間違いなくここに入ってくる。どうでもいい私的ベストを勝手に語り出すオタクになってしまい申し訳ないが、とにかく人生レベルで良かったということが伝えたかった。

 

と、そんな訳で素晴らしいアルバムなのでした。ソロ声優のアルバムの中でも最高峰の完成度だと思う。ライブは千秋楽の市川公演のみの参加だったけど、別の公演も行けばよかったと後悔した。このアルバムで生バンドのホールコンサートは良さがカンストする。

 

 

 

 

Blue Avenue

Blue Avenue

 

 

Lucy(ルーシー)

Lucy(ルーシー)

 

坂本真綾さんの最強に良いアルバム。当時20歳とは思えない完成度。菅野よう子との最強タッグ。)

 

マキノユイ。

マキノユイ。

 

 (牧野由依さんの最強に良いアルバム。少しアニソン寄りな曲も。)