『ラブライブ!サンシャイン!!』1話-4話の雑感

 

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』OP主題歌「青空Jumping Heart」
 

 

ラブライブ!サンシャイン!!の4話までの雑感みたいなのを書いてみる。話数ごとでは、2話と4話が非常によかった。逆に3話は少し引っかかる部分がある。そんなわけで単話ごとに書いていく。

 

■第2話「転校生をつかまえろ!」

2話では特に終盤の千歌と梨子のベランダのシーンが良かった。1話ラストとの対比だろう、ベランダ越しに千歌が梨子に手を差し伸べ、梨子はそれに手を伸ばす。しかし手はもう少しのところで届かない。そこで梨子は諦めて手を引っ込めてしまう。

ベランダ越しに手を触れる、それ自体には決して大きな意味はない。だからこそ梨子もすぐに諦めたのだろう。しかし千歌は諦めなかった。そこに何か打算や計算のようなものがあったとは個人的には思えない。ただ直感的に梨子の手を取ることに夢中になっていたように感じた。梨子が目を見開いたように、本当に落っこちるのではないかというくらいに身を乗り出すのである。

決めたらやり通す、猪突猛進、あるいは盲目的とも言えるこの性格はラブライブの主人公らしい。周りを巻き込んでいくポジションに据えるキャラとしての説得力がそこで示されていたように感じる。

 

■第4話「ふたりのキモチ」

4話では国木田花丸ちゃん、いや国木田花丸さん、そして黒澤ルビィがAquorsに加入する。国木田花丸さん、尊すぎる。

国木田花丸さんが星空凛さんに憧れる描写があるが、その星空凛さんの写真は『Love wing bell』のライブのものになってる。星空凛さんが自身のコンプレックスを打ち破るエピソードで歌われる楽曲。無印ファンであれば反応せざるを得ない演出だ。

こうした無印の、μ'sの姿は1話から毎度登場する。μ'sと全く違う物語をやるのではなく、敢えてそこに踏み込んでいく姿勢はかなり挑戦的で良いと思う。μ'sを汚さないように、と変に日和ってしまえばこういう引用は出来ない。

4話の引用は特に踏み込んだ感じがして良かった。μ's全体を引用するというぼかした感じでなく、『星空凛』という個人を持ってきたところに潔さを感じる。これに引っ張られて、これ以降も強引に全員を引き合いに出すようになると違う気はするけど。

 

■第3話「ファーストステップ」

一方で3話はどうにも頷けない箇所が多かった。3話は別の話とは異なり、完全に無印の3話を踏襲している格好になっている。無印では3話が大きなターニングポイントとなった重要なエピソードだったため、これを踏襲するというのは決して悪くない。

ただ、どうも中途半端な踏襲に終わったという感が強い。無印に沿う形で進めたため、どうしても諸所に制約というか不自然な点が際立つようになった。要するに引っ張られていた。そして何より、三人の心情が理解不能だった。

サンシャインと無印は比べるべきではないと思っていたが、3話に関しては完全な踏襲なので比較せざるを得ない。

無印の三人がステージ上で絶望したのは、観客がまさしくゼロ人だったからだ。しかしそこに観客として小泉花陽が遅れて駆けつけることで、三人の心情はプラスへと変化する。見てくれる人が一人でもいるのなら、努力の成果を見せる。これを先導するのは穂乃果である。そしてそこからノンストップのフルコーラスが始まる。

一方サンシャインの三人は、数人の聴衆に不満げな表情を浮かべた後に「まあ仕方ないか」といった形でステージを始める。途中、停電でステージが中断。三人はアカペラで歌い始めるも千歌が途中で折れかける、その瞬間に停電が復旧。千歌の凡ミスが発覚して会場は満員になり、途中からステージが再開する。

ご都合主義なところはあるけど引っかかってるのはその部分ではない。俺の書き方もあるけど、こうして比較してしまうとサンシャインの三人の印象があまりにも良くない。無印の三人なら、サンシャインの状況でも嬉々とライブをしただろう。結果的に満員になり、ライブも盛り上がって成功したことで大団円に見えるが、どうもスッキリしないのはこのためだ。

映像作品には時間という制約がある。更に、同シリーズの話を踏襲するとなれば、表現的な制約も増してくる。しかも踏襲する以外にどんでん返しも加えている。泣く泣く削られた台詞もあるだろう。作品の外での戦いが内容にまで影響を及ぼしてしまっている…ように感じた。ライブシーンの三人は真の三人の姿ではなかった。と思いたい。

ただ上記したように4話ではその引用に唸った。似通った構成の話で別のキャラクターを動かすのは難易度が高いということにしておきたい。

 

そんな感じで各話の雑感でした。 

2話の梨子の物語でもそうだったけど、新しくAquorsに入るキャラクターは自身のコンプレックスやトラウマを打ち崩すことでアイドルへの道を踏み出すという構図になっている。これから加入するであろう3年生トリオと、1年生のヨハネこと善子も一筋縄ではいかない事情を抱えていそうな感じがある。特に3年生トリオは過去にスクールアイドルに挑んで挫折してそうな匂いがする。そうなれば矢澤にこの文脈にも繋がるかもしれない。楽しみ。

今後も楽しみにしてます。終わり。