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『僕だけがいない街』1-6巻 感想

 

 

子供らを被害者に 加害者にもせずに

この街で暮らすため まず何をすべきだろう?

でももしも被害者に 加害者になったとき

かろうじて出来ることは

相変わらず 性懲りもなく

愛すこと以外ににない

 

タガタメ/Mr.Children

 

 

TSUTAYAでレンタルして1巻から一気読みしました。タイトルは良く目にしていたのですが読むのは今回が初めて。話題作で、実写化も決まったようですね。

主人公は28歳の売れないマンガ家。身近で事件が起きたとき、それを未然に防ぐために過去に戻ることが出来る能力『再上映』(リバイバル)が発動するという体質を持っています。とあるきっかけから、18年前の小学生時代に保護者たちによって秘密裏に処理された連続児童誘拐殺人事件が再浮上し、その結果として主人公の母親が殺されてしまいますが、ここで主人公の能力が発動。何と小学生時代にまで時が撒き戻り、誘拐事件を未然に防ぐために犯人探しに奔走する、といった展開になります。

 

児童誘拐殺人というかなり踏み込んだテーマを扱っていて、読んでいて塞いだ気分になったり、ぞっとしたりすることも多かったです。しかし、主人公の能力『再上映』がミソとなっていて、探偵モノとして非常に面白く、先が気になっていつの間にか6巻まで読破していました。おぼろげな過去の記憶と、現代で見聞きした情報を結びつけ、様々な仮定や検証の下に真相に近付いていく辺りは本当にドキドキします。

犯人が明らかになるまでは、登場人物全てが怪しく、一見すると味方であっても裏ではどうかわからない…といった緊張感があります。児童誘拐というおぞましい事件に垣間見える狂気であったり異常性といった部分も正面から描いていて、その辺りが読者を塞いだ気持ちにさせるものの、その分強烈なインパクトを残してくれます。

 

面白いのはやはり、主役が小学生だというところ。もちろん主人公に関しては頭脳が大人なんですがね。それでも、犯人のターゲットとなる存在であり、力勝負になれば無力であり、というハラハラ感と、でもその分敵が油断しているからうまく動けるというのが絶妙で良かったです。

また、無力ながらに考えて一生懸命行動する小学生たちを、保護者や大人たちが手助けして力を合わせて問題解決に向かっていくというのが新鮮でした。良い大人、悪い大人と両方出てきますが、良い大人に関しては子供たちを第一に考え、尊重し、でも身を案じ、そして不運にも被害者となったときは子供たちの心の傷をケアし、という愛情に満ちた存在として描かれていたように思います。

これは、重い描写の多いこの作品における一つの救いであり、強烈なメッセージだと思います。中でも主人公の母親は大人の理想像であるように映りました。主役は小学生と書きましたが、あるいは大人たちこそが真の主役なのかもしれません。親になった経験が無いので分かりませんが、親が子供に対して抱くのであろう、他のどんなものとも比べることの出来ない強大な愛、そんなものが作品の随所に垣間見えるような気がします。

悪い大人に関しても、その心理の揺れ動きや人格形成の過程を妥協なく描いているところが素晴らしいなと思いました。その分、狂気に触れたときは本当にぞっとしますが。

 

そんな感じで、エンタメとしてもめちゃくちゃ面白いですが、根深いテーマも盛り込まれた"すごい"マンガだと思います。これは話題になるのも頷けます。まだまだこの先の展開が気になるところなので、また続刊を追って行きたいなと思います。

 

 

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