『プラスティック・メモリーズ』OPの視線の話
4月から放送中のアニメ『プラスティック・メモリーズ』のOP映像が良いなと思ったので、記事にしてみます。良いな、と思ったのもそうだけど、ちょっと気になる点があったのでそれも踏まえて書いていきたい。
こちらで最新話が視聴可能。
「思い出を引き裂く」というフレーズが作中でも登場し、シリアス路線に進んでいきそうな本作品。ヒロイン:アイラのポンコツぶりはめちゃくちゃかわいくて癒されるものの、第2話でアイラの寿命が残り僅かであることも示され、ますますそういう路線になりそう。
そんな展開を示すように、本作品のOPはかなりシリアスな雰囲気に仕上がっている。テーマ曲の「Ring of Fortune」もそんな雰囲気を損なわず、しかし暗くなり過ぎない透明感のある楽曲。作詞は原作者らしい。
映像も美しいし、カメラワークというか構図なんかもすごく良くて、完成度の高いOPだと思う。OPはアニメの顔みたいなところもある(と思う)ので、ここで惹き付けられると自ずと作品全体にも期待がかかる。
本作品のOPは、そんな素晴らしいOPであり、個人的にかなり気に入ってしまってるんだけど、少し気になった部分があった。ズバリ言うと、登場キャラクターの『視線』である。
そういう訳で、楽曲は一旦置いて、映像にフォーカスしてみる。
そもそも最初に気になったのは、一番最後のこのシーン。アイラが主人公を見上げたあと、目を反らしてしまい、それでOPが終了する。王道だったらここでにこっと笑って終わると思うし、アイラちゃんの笑顔を俺も待ってたんだけど、それを拝むことは叶わなかった。本当にシリアスまっしぐらだな、という感じ。
この、割と異常な(?)終わり方が引っかかったので何度か見返してみたら、『視線』というところで一つの共通項が見られた。というのは、『キャラクター達が殆どこちら側に視線を向けてくれない』ということだ。
『別のどこかを見ている』とした方が正しいかもしれない。以下で見ていきましょう。
アイラちゃーん!!!!
アイラちゃーん!!!!!こっち見て~~~~!!!!アイラたそ~~!!!!!!!!
アイラちゃん……?こっち見て?
アイラちゃん…?ねえ、アイラちゃん!!!!!アイラ~~~~~~!!!!!!!
お~い!!!!こっち向けよ~w なあ、お~いww
こっち向いて~~!!!!
こっち……なあ…頼むよ…。
と、こんな感じで疎外感を感じる映像になっている。キャラクターが複数人で映るシーンというのは殆ど無くて、主人公&アイラのペアくらいか。キャラクター紹介を兼ねて、画面にガンガンキャラクターを出す作品も多いと思うけど、本作品は完全に雰囲気重視という感じ。
OPで戦闘シーンやアクションシーンがあれば、基本的にこちらに視線は向かない。『何かをしているとき』であれば、その作業に集中しているからだ。では、本作品のOP内でキャラクターたちが何かをしているかと言うと、基本的に何もしていない。アイラはくるくる回ってるけど。
要するに、本作品のOPのキャラクターたちは、何もしておらず、かと言ってキャラクター紹介よろしく画面に向かって笑いかける訳でもなく、ただ別のどこか一点を見つめている。この演出の効果としては、キャラクターが『何かを考えている』ように映るというのもあるし、『孤独感』を増長させるというのもあるだろう。シリアスで儚い印象を受けるのはここの効果もあるかもしれない。
この辺りも、顔はこちらを向いてるけど、遠い目をしてる印象を受ける。
極め付けはここの流れ。
正直、ここまでの文脈はこじつけっぽいと言うか、別にこの作品に限らず、OPでキャラクターがこっちを見ない作品なら割とあるのかもしれない。自分でも最初にそう思ったんだけど、じゃあ何で記事にしたのかと言うと、本作品のOPでは明らかに『視線』の効果を狙っているなという印象を抱いたためだ。
上のGIF画像を見ると、わかりやすく視線がこっちに向かないように配慮されている。もはや「目を逸らしている」と言ってもいい。他でも、「こっちを見てくれても良いのに…」と思うような箇所で結構目を逸らされてしまう。仮にそういった意図でこの演出が行われているならそれは、『こちらに気付いているのにわざと目を逸らしている』ということで、『何かに没頭していてこっちに気が向いていない』のとは大分意味合いが違ってくる。
そこに意図があるなら、上述した『何かを考えている』様子や『孤独感』の他に、『壁』とかそういう効果も出てくる。それが本編に絡んでくるかはわからないものの、内面的な話になっていきそうだなという印象である。
と、そんな感じで根拠も乏しいようなことを書きました。間違ってたらごめんなさい。あと誰かが先に言ってたらごめんなさい。アイラちゃんポンコツかわいい。
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