くろろのたのしいディスカバリー(2016年12月)
2017年に入ってしまっているけど、12月の振り返り記事作成。2016年毎月書いたぞ。
㈱オーイズミ『1000ちゃん』
久保ユリカさんがMCを務めるオタク情報番組『アニゲーイレブン』にてピックアップされていて興味を持ったコンテンツ。新田恵海さん演じる『1000ちゃん』というキャラクターがメインキャラ。キャストは新田恵海さん、渕上舞さん、洲崎綾さんという豪華な顔ぶれになっており、ライブも行われているようだ。
いまいち設定を飲み込みきれていない部分もある中、とりあえずiTunesで数曲買ってみたけどこれが良い感じだった。いわゆる電波系の楽曲が多く、これが非常にノリがいい。
新田恵海さんがこういう歌い方もこなしていたことに感激。新田恵海さんの歌唱力は相当にヤバいと思っているのでいつかライブで生歌を聴きにいきたい。
もうすぐニューシングルが発売予定。良さげだし買うと思う。来月辺りにブログで取り上げてるかもしれない。
The QUEEN of PURPLE『TRIGGER / Fire and Rose』ほか
ナナシスより、Le☆S☆Caの『トワイライト』、KARAKURI / 4Uの『Winning Day / Lucky☆Lucky』が12/7に同時発売したので購入。The QUEEN of PURPLEの『TRIGGER』は10月に出てたけどこれも11月末くらいに。アプリ無課金支配人の端くれとしてはここで金を落とすしかない。
QoPの表題曲『TRIGGER』は刺さらなかったけど、カップリング曲の『Fire and Rose』にかなりハマってしまった。単純にサウンドがロキノン風でかっこよく、そこに乗っかる女性ボーカルが力強さと艶やかさを兼ね備えていて絶妙。アジカンとかELLEGARDENとか俺が高校生くらいのときに流行ってた音楽と雰囲気が似ていて勝手にエモさを感じているというのもあるかもしれない。あるいは単純にボーカルが好みなのかもしれないな。
大音量で聴くと最高に気持ちいい。特にQoPの面々に思い入れがあるわけでもなく、彼女らのストーリーにもまだそこまで厚みは無いはずなのだが、ラストで繰り返される英詞サビに言い様の無い痛切さを感じてしまう。
ドラマCDでのMCをどうするかという会話の流れでムラサキが「歌に全て込めた(からMCは必要ない)」と言ってたのもあるかもしれない。どうしてか汗を飛ばしながら凛々しく歌うムラサキが浮かんでくるのである、そのムラサキはスポットライトを浴びながら歌う喜びを噛み締めている、めちゃくちゃいい表情をしている……
その一方で楽器勢の存在感は正直薄い。楽曲単体はめちゃくちゃ好きだけど、キャラクターバンドの楽曲としてはもう少し工夫が必要と言える。4Uと同じだけど、コーラスやハモり、ユニゾンを入れてみたり、各キャラのソロボーカルverを出してみるなど。
この辺りはキャラクターバンドが共通してぶつかる壁と言える。「けいおん!」の楽曲でも琴吹紬ちゃんを感じたことないし。「これムギちゃんのキーボードだ!」とか無いし。
アイドル事変1st.ステージ START UP, DREAM!!
別記事作成済み。1月期にアニメ放送も控えている『アイドル事変』のライブに参加。
つんく♂が関わっていたりと何かしらデカいことをやりそうな雰囲気がある。ムラや危なっかしさはあるものの、きっと当たればデカい。「.263 34本 105打点」みたいな雰囲気を持っている。(伝わる)
久保ユリカ『ありがとうの時間』、『ありがとうの時間』リリースイベント(2016.12.11参加)
久保ユリカさんの3rdシングル『ありがとうの時間』を購入。リリースイベントにも参加しました。かなりメッセージや想いが込められている素敵な曲です。感想だったり考察だったりその辺りは別の記事にまとめた。
リリイベのお渡し会で話せる時間はだいたい10秒くらい。3回参加したら、「何度もありがとう」的なことを言ってもらえた。決して覚えてもらうことが目的ではないけど、嬉しいか嬉しくないかで言えば大変嬉しい。
一回の時間は短いけど、最近は6回行けば1分間話せるじゃんという思考になってきた。短い時間であっても積み重ねればそれなりにはなる。そうすればメッセージも多少繋がったものには出来る。楽曲や演技の感想なども、やはり対面で伝えたいところではある。その辺りは大事にしたいところだと思った。
と言いつつも大事な10秒間で気持ち悪いカミングアウトをしているのだった(↑の記事参照)。
久保ユリカ クリスマスイベント2016(2016.12.25参加)
六本木にて開催された久保ユリカさんのクリスマスイベントに参加。詳しくは↑の記事参照。
これが2016年最後のイベント。2016年は久保さんを追い始めたのもあって例年にないイベント参加数だったが、それを締め括るに相応しい素晴らしい内容だった。
そんな訳で2016年12月分も終わり。何だかんだで1月から始めた月間まとめが1年間続いたので少し達成感がある。雑な時期もあったけど。 2017年も続くといいなと思う。
久保ユリカ クリスマスイベント2016に参加した話
12/25に開催された久保ユリカさんのクリスマスイベントに参加したので記事にします。場所はEX THEATER ROPPONGI。クリスマスだというのになかなかエグい場所でやりますね。
3rdシングル『ありがとうの時間』を購入すると応募の権利が貰え、昼の部、夜の部と応募が出来る。両部当選したので両部に参加しました。
物販編
昼の部の前にイベントグッズの販売が行われた。物販開始ギリギリに到着する意識の低さを発揮したところ、欲しかったマフラーほかタンブラーやポーチが完売してしまった。結局ワインレッドの攻めたカラーのマルシェバッグのみ購入。
(何となく欲しいなと思ってたグッズ群。マフラーは事後再販分含め即完売)
久保ユリカクリスマスイベント2016物販情報! | 久保ユリカ オフィシャルWEBサイト
普通にお洒落なデザインだし人気が出るのも頷ける。久保さんイベントの物販はかなり信頼出来ると言っていい。その後、イベントまでは友人とサイゼリヤで過ごしました。サイゼリヤ最強。
イベント編
大体の概要に関しては簡潔にまとまっていて読みやすい記事があるのでそれを貼る。
・久保ユリカ、クリスマスイベントに黒ジャージ姿で登場。2017年春に1stアルバムの発売をファンに向けて発表 | 記事詳細|Anime Recorder|アニメレコーダー
画像も拝借。クリスマスイベントということでサンタコスだったりそういうのを期待した人も多いはずだが、普通に裏切って上下黒ジャージで登場する久保ユリカさん。リビングルーム風のセットと共に登場ということで、部屋で独りクリスマスを過ごす女性を再現した形です。
客席の最前部にはカメラがいるほか、久保さんの前にある机にも固定カメラが設置されており、これらの映像がステージ上部のスクリーンに映し出される。このカメラワークが非常に良く、画質やスクリーンの大きさも十分だっため、後方の座席でも楽しめる会場だった。昼の部は2階席の後ろの方だったけど良く見えました。さすが六本木。
机の固定カメラのアングルが非常に良く、久保さんが覗き込むように見ると結構ドキドキする感じの映像になるので素晴らしかったです。
イベント前半はゲームコーナーやお絵かきコーナー、カラオケコーナーにプレゼントコーナーなど盛りだくさんの内容。プレゼント用のチェキを自撮りするだけのコーナーもあり、久保さんの自撮りを会場が息を呑んで見守った。
カラオケコーナーでは事前に募集していた楽曲の中から結構なペースで楽曲を披露。松浦亜弥とか今の中高生にはわからないだろう…。
夜の部では自身の1stシングル『Lovely Lovely Strawberry』を歌って印税を発生させていた。あとはマクロスFの『ライオン』の「シェリル/ランカ」を「会場のオタク/久保さん」でパート分けして合唱したのも印象的だった。
昼夜ともにラストではμ'sの『Snow halation』を披露し、例のサイリウムチェンジが再度発現した。μ'sのライブだと、色が変わる瞬間は新田恵海さんのソロパートであり、久保さんはステージから目線を切っている。そんな訳で色が変わる瞬間を見たのは今回が初めてだったようです。ちなみに俺はサイリウム持っていくの忘れたので参加出来なかった。
カラオケ後のプレゼントコーナーでは自撮りコーナーで撮影されたチェキを巡ってクイズ大会が行われた。個人的な出来事として、このクイズ大会とサドンデスのジャンケンを勝ち抜き、プレゼントのチェキを貰うことが出来た。最後の一枠をかけてオタクと一対一のジャンケンをしたので痺れました。勝ったときに会場中が祝福してくれて本当に優しいファンばかりだと思ったよ…。
その後休憩を挟んでライブパート。3rdシングルより『Happy Cuty My Snow Man』と『ありがとうの時間』が披露された。衣装チェンジしており、サンタ服を意識してそうなモコモコした服装に。冬っぽくて素敵でした。
『Happy Cuty My Snow Man』は可愛らしく楽しい雰囲気の楽曲なので会場も盛り上がりを見せていた。クラップが楽しかったです。サイリウム持ってなかったのでクラップに専念しました。久保さんはステージでぴょんぴょんと跳ねていてスーパー可愛かった。なんだこの27歳。
サビで「Happy Cuty 遊ぼうよ」や「Whity Lucky やわくって」という歌詞があるが、この歌い出し部分の歌声が非常に力強かったのが印象に残っている。どちらもハ行なので難しそうだが、息を強く吐き出すようにして歌っていたと思う。特にWhity Lukyの歌い出しは勢いがあってめっちゃ声出てるなと思いました。
次曲『ありがとうの時間』へと移る前には曲間トークが入った。最近は家でファンからの手紙を読みながら自身の『ありがとうの時間』を聴いて過ごしているとのこと。更にはスタッフやファンなどへの感謝の気持ちを濁さずに言葉にしていた。
『ありがとうの時間』の歌詞やミュージックビデオでは、感謝の気持ちを素直に伝えることの大切さが間接的に示されている。それをステージの上で自ら体現する久保さんは非常にかっこいい。素敵な人である。
インタビュー記事や各所での発言を見ると、久保さんとしてはソロ活動や声優の仕事をしている現状に関して「この場所に立たせてもらっている」という意識を強く持っているように感じる。声優活動を始める前や、ラブライブ!の初期辺りから応援し続けているファンに対しては特に感謝の気持ちが強いはず。
これに関しては新規ファンである俺も同じ気持ちで、もちろん久保さんの実力があってこそではあるものの、初期ファンの支えも今の状況の要因になったことは間違いない。そんな訳でバースデーイベントの時も同じようなことを書いたけど、感謝ということを考える度に、久保さんだけでなくファンの人にも感謝の気持ちが湧き上がってくるのである。
感謝ということで書いておくと、魅力的な女性声優やアーティストが他にもたくさんいる中で、久保さんを追いかけることが出来ている今の状況に俺は感謝したい(ポエム)。ひいてはそれは、久保さんだけでなく、初期のファン、ラブライブ!、小泉花陽、それらのものに感謝するということでもある。
「久保ユリカ×感謝」となると、毎度エモい気分になってしまう。久保さんにも何かしらの方法でまた何か感謝を伝えていければと思う。一番良いのは手紙なのかな。みんな、手紙書こう。
2曲疲労してライブパートは終了。最後は全員で一斉に「メリークリスマス!」と叫んで即席のクリスマス感を演出した。間違いなくこれはクリスマスイベントだった。
そんな感じで素敵なイベントでした。2016年を締め括るに相応しい内容だったと思う。2017年も出来る範囲で応援していきます。まずは8日の台湾イベント。あとは4月にアルバム発売とのことなのでこれもハイパー楽しみに待ちます。
そんな感じで終わり。『ありがとうの時間』が素敵な曲だということに関しては別の記事でも書いてるので宜しければ。
アイドル事変1st.ステージ START UP, DREAM!!に参加した話
『アイドル事変』の1stライブ、「アイドル事変1st.ステージ START UP, DREAM!!」が12/4にベルサール秋葉原にて開催。「アイドル事変』内に登場する各政党から主要キャストが出演しました。絶賛応援中の久保ユリカさんも出演ということで参加。
アイドル事変の展開としては、アプリゲームの配信、楽曲CD、そして2017月1月に放送予定のアニメ辺りが主。その他ラジオ等も展開してるけど、有料チャンネルだったりしてここまでは手を出せていない。
アイドル事変とは…
舞台は現代の日本に良く似た、パラレルワールド的な[ニッポン]
広がる所得格差、しのび寄る環境汚染、打つ手なしのゴミ問題、
当事者不在の議論が続く待機児童、繰り返される汚職の数々…
あふれる問題や不満に対し何一つ対策を打つことのできない既得権益にまみれた政府。
そんな八方ふさがりな状況のニッポンでついに“アイドル”たちが立ち上がった!
ヒロイン党 賛来党 スターライ党 美少女党 わかば党 サブカル党 SOS党
7つのアイドル政党から、各都道府県の代表として国会議員となったアイドルは、
ニッポンを覆う閉塞感を歌とダンスで正面突破!!
国民の笑顔を取り戻し、
輝きのオーラでニッポンを包み込んでいく!!!
堕落した政治を立て直すために、アイドルが国会議員になる……というのが大筋の流れ。こう聞くとかなり挑戦的な内容だけど、アプリを触った感じだと特に重く踏み込んだテーマを扱っている訳ではなさそうだった。千葉の海水浴場でパリピがゴミをちゃんと片付けないからどうにかしようみたいなストーリーがあったような…。
さてそんな『アイドル事変』の1stライブ。ライブと聞いていたので色々歌うのかなと思いきや、トークイベント+ライブという形式でお届けされました。ライブ自体は3曲のみの披露だったので少し拍子抜けしてしまった部分もある。以下少し詳しめに書いていきます。
大体の概要と画像はアニメイトタイムズさんのこちらの記事を。
トークパート
トークパートでは『アイドル事変』についてのおさらい的なところから、アフレコ現場でのディレクションの様子、楽曲の制作過程について色々と聞けて良かった。
面白かったのが、つんく♂氏楽曲のパート割りの話。パート割りは本来「Aさんにはこのフレーズを担当させよう」と決定した上で、Aさんのそのフレーズを部分録りしていくのが主流らしい。
しかし、つんく♂氏の手法は、各声優にフルバージョンを歌わせて、全フレーズ分を録る。それを後から聞き込み、「このフレーズはこの人のを使おう」といった形で配置していくというスタイル。歌い手からすると、「曲が出来上がってくるまで自分の歌がどの部分に使われているかわからない」というところが特殊な様子だった。
ちなみにつんく♂氏はハロプロ楽曲でもこの手法を使っているようで、もしかしたら有名な話なのかもしれないけど俺は初耳でした。この手法だと本当に念入りに一人一人の歌を聴いていることになる。
作品の話のほかは、各キャストの地元トークなどが繰り広げられていた。各アイドル議員は各都道府県から選任されているが、その都道府県とキャストの出身地をリンクさせてたりさせてなかったりする。例えば久保さん演じる飯塚桜子さんは久保さんと同じく奈良出身ということになっている。
そんな訳でそれぞれ地元の良い所をアピールしたり、「あの県には勝てないけどあの県には絶対に勝ってる」的な話で盛り上がっていた。上田麗奈さんが富山県出身とのことで、富山県を控えめに推してたのも印象に残っている。
ライブパート
トークイベントの後はライブパート。披露されたのはwithの楽曲が1曲と、全体楽曲が2曲。飯塚桜子が所属するキラキラの楽曲を聴けるかなと期待したが、メンバーが揃っていなかったのもあって披露されず。
これに関しては正直なところ音響が微妙だった。後方のブロックだったのもあるけど音が良く聞こえない。コールで声を出すと悪目立ちする程に聞こえないので、いまいち盛り上がれない。ライブをやるには適していない会場だったように思う…。
それでもアニメ主題歌となる新曲「歌え!愛の公約」は楽曲、パフォーマンス共に素晴らしくて目を奪われてしまった。9人のハーモニーやダンスの動きなど統率が取れていて完成度の高さを感じた。これはまた見られる機会があると思うので楽しみである。
と、全体的にそんな感じ。音響含め、イベント自体は微妙な部分もあった。
まぁおそらく「アイドル事変が大好きで来ました!」という人は少なかったと思う。音源もアプリもまだ立ち上げ段階という感じだし、「良くわからんけど、自分の好きな声優が出てるから来ました」という人が大半な気がする。そんな訳で内容が多少アレでも満足度は保証されているわけです。俺もそうです。声優オタクはちょろい。
上記の通り見切り発車感が否めず、事前からもあまり良い印象を抱けていなかったけど、随所で素晴らしいポイントがあったりして期待しても良いのかなとも思えてきた。ムラはあるけど何か新しい面白いことをやってくれるんじゃないかみたいな勢いは感じる。
可能性を感じた点として、『アイドル』へのアプローチに他の二次元アイドルとの違いが見えたというのがある。個人的な印象だけど『アイドル事変』における『アイドル』はそれこそハロプロ等の三次元アイドルに近く見えた。
どこでそう感じたかというと、つんく♂氏が細かく監修しているであろう「歌え!愛の公約」を披露したときなので、そりゃそうだろという面もあるけど。歌い方がキャラソンっぽくなかったり(そもそもキャラあまりわからないけど)、振り付けもアニソンの文脈で求められるある種の「かっこよさ」とか「可愛らしさ」を追求したというより、キャストの「女性らしさ」を際立たせたものになっていた印象を抱いた。これはそもそも『アイドル事変』に「二次元(2.5次元)アイドル」と呼べるほどのコンテクストが備わっていないこともあるかもしれない。
あとは書いてなかったけど衣装がすごくかわいかったです。黄色い衣装というのもなかなか珍しい。
そんな感じで、今回のライブを通して、色々な意味で注目していきたいと思いました。既存の作品とはどこか違うなと思わせる何かがある気がするので楽しみです。あと久保さんがアイドル衣装で踊っている姿を見られてとても良かった。
今月から始まるアニメが成功してくれると色々と広がっていくと思うので期待したい。
久保ユリカ『ありがとうの時間』と『星の王子さま』の話
久保ユリカさんの3rdシングル『ありがとうの時間』についての話。
楽曲の概要や感想なんかについては別の記事を執筆済み。この記事では、『ありがとうの時間』の歌詞に登場するサン=テグジュペリの小説『星の王子さま』と『ありがとうの時間』の関連に特化して、感想だったり考察だったり意見だったりを勝手に書いていきます。
別記事はこちら。↑
1.『ありがとうの時間』楽曲と『星の王子さま』について
『ありがとうの時間』の歌詞では、1番と2番で共に『星の王子さま』というフレーズが登場する。楽曲全体を貫くテーマは、タイトルでもある「ありがとうの時間」というフレーズに集約されているが、ここには『星の王子さま』において登場する王子とキツネのやり取りが密接に関わってくる。
以下、関連部分を引用。
「さようなら」王子さまは言った・・・
「さようなら」キツネが言った。
「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
忘れないでいるために、王子さまは繰り返した。
「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」
「ぼくが、バラのために費やした時間・・・」
忘れないでいるために、王子さまはくり返した。
「人間たちは、こういう真理を忘れてしまった」キツネは言った。
「でも、きみは忘れちゃいけない。きみは、なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。きみは、きみのバラに、責任がある・・・」
「ぼくは、ぼくのバラに、責任がある・・・」
忘れないでいるために、王子さまはくり返した。
引用:【星の王子さま サン・テグジュペリ】 いちばんたいせつなことは、心で見なくてはよく見えない|本好き研修医の死生学日記 ~ 言葉の力は生きる力
『王子とキツネのやり取り』において登場する主要な人物は、王子、キツネ、バラの三人である。王子はかわいがって育てていたバラと喧嘩してしまい、住んでいた星を飛び出して様々な惑星を旅する。その過程で出会うのがキツネである。
やがて王子とキツネの別れが訪れた際に、上で引用したやり取りが行われ、キツネは王子に「大切なものは目に見えない」ということ、「バラと過ごした時間」こそが目に見えない「大切なもの」だということを教えてくれる。
「大切なもの」は総じて目に見えない。例えばそれは、絆を育んだ相手と共に過ごした時間。心の目で見なければそれらは見落とされてしまう。
名言や教訓として参照される有名な部分であり、歌詞も殆ど直接的に対応しているので、ピンと来た人も多いかもしれない。こうした引用があると歌詞に深みが増して聴き応えがある。
『ありがとうの時間』の「時間」とはまさに目に見えないもの。「思い出の分だけ」という歌詞の「思い出」もそう。作詞当初から『星の王子さま』が意識されていたのか、あるいは途中でベクトルが一致したのかはわからないが、歌詞の随所には『星の王子さま』のエッセンスが落とし込まれている。
見落としがちな「大切なもの」を胸に留め、思いを馳せ、共に育んでくれた相手に感謝の気持ちを伝える。『ありがとうの時間』はそういう楽曲であり、だからこそこの楽曲における「ありがとう」という言葉の真摯さ、誠実さ、切実さは、しかと受け止める必要がある。
2.MV(ミュージックビデオ)と『星の王子さま』について
MVについても別の記事で色々書いてる。久保さんの熱演やウエディング姿が見られたりと豪華な内容だが、もう一つ興味深いのは、『星の王子さま』との関連である。ということで、ここでも『星の王子さま』との関連について考えて生きます。
前述したように、『星の王子さま』内の『王子とキツネのやり取り』において登場する主要な人物は、王子、キツネ、バラの三人である。
『星の王子さま』のストーリーとMVのストーリーを重ね合わせて見てみると、咲と咲の母親はすれ違いによって疎遠になっていることから、王子に当たるのは咲で、バラに当たるのが咲の母親という解釈が出来る。
さてそうなると、「キツネは誰なのか?」という疑問が出てくる。このことについて考えてみたい。
①キツネ=手紙
一つ目は、キツネは母親からの手紙だという解釈。キツネの役割を恣意的に抽出するとそれは、『大切なもの』の正体を王子に気付かせる(=仲直りのきっかけを与える)、である。
ということは、母親との時間を想って涙を流し、母親との和解を自身の中で行うきっかけを作ったあの手紙は、キツネの役割を果たしていると言えなくもない。ずっと持ち歩いていた手紙が数年の時を経て咲の元にキツネとして現われるという点では、結構ロマンチックな解釈だと言える。
②キツネ=咲
二つ目は、キツネは咲自身だという見方。冒頭のシーンで咲は葵(碧?あおい?)という女の子と会話をする。葵は母親と喧嘩をしており、仲直りの方法を咲に相談する。そこで咲は「素直に謝ることが大事だ」というアドバイスを行う。
この一連のやり取りのあとに咲は空を見上げ、MV本編がスタート。この演出からも、葵との会話が、母親との『時間』に思いを馳せる引き金になったと考えられる。
葵が王子、葵の母親がバラだとすると、咲はここで擬似的にキツネの役割を果たしている。そして、咲がキツネとしてアドバイスを行ったことが、自身が王子の役割を担っている「咲-咲の母親」の関係においてもヒントになったという見方が出来る。
厳密にはMV本編では声が入っていない部分なので持ち出していいのか微妙だけど、メイキング映像を見ると、咲と母親が式場で再会するシーンで咲は母親に「ごめんなさい、ごめんね」と言っていることが確認出来る。「素直に謝ることが大事だ」という女の子へのアドバイスが自分自身にも跳ね返ってきていると捉えられる。
複雑だけど要するに、咲は「葵-葵の母親」と、「咲-咲の母親」の二つの関係においてキツネの役割を担っているという解釈です。
これは見方によっては「キツネ=女の子」とすることも出来るかもしれない。
③キツネ=不在
最後は、キツネは存在しないという見方。個人的にはこれも有力かなという印象。①も②も決して直接的な回答を指し示してくれた訳ではなく、あくまでも咲が自分自身で気付くためのきっかけに過ぎなかったと捉えれば、キツネは不在ということになる。まあ殆ど捉え方とか角度次第なんですが。
深読みすれば、フィクションの世界では導いてくれる存在がいるけど、実際の世界では自分自身で「大切なもの」に気付かなくてはならない、というメッセージとも取れる。
『星の王子さま』を引用した上でキツネを不在する、というのは相当に捻ってあるテクニカルな内容なので、流石にMVでそこまで難しい内容にすることは考えにくい。ただ実際問題、ドンピシャでキツネに該当する人物は登場しないので、もしかすると狙っている可能性はある。この辺り是非聞いてみたいけど、誰にどうやって聞けばいいのかわからない。
以上3パターンを考えてみた。個人的には②が有力というか、これが色々と腑に落ちるなという感じです。もちろんどれが正解というのはないと思うのであくまでも勝手な想像。「こういう解釈もアリじゃないか」というのがあったら楽しいので教えて下さい。
という訳で、『星の王子さま』を念頭に置いた上で『ありがとうの時間』について考えてみると、こんなのがあるんじゃないかというのを書いてみました。MVのところは無駄に深読みしてる感があるけど、こんな感じで見方を広げることも出来るんじゃないかなという提案みたいな感じです。
ちなみに2ndシングルc/w『記憶コロコロ』の「彼女の名前 名前はノスタルジー」という歌詞も、ヘミングウェイの「我々はいつも恋人を持っている。彼女の名前はノスタルジーだ。」という言葉からの引用だと思われる。『ありがとうの時間』と共にスムルースの徳田憲治さんによる作詞ということで、こういった引用を良く使う人なのかもしれない。
ただ、作品の根幹に関わる明確なモチーフがある楽曲は初めてだと思うので、色々と新鮮でした。色んな視点を持った上で改めて聴いてみたいと思います。
ちなみに実は『星の王子さま』はちゃんと読んだことないので間違ったこと書いてたらすいません。
久保ユリカさんの『ありがとうの時間』の話
久保ユリカさんの3rdシングル「ありがとうの時間」が12月9日に発売。1st、2ndのときも記事にしてきたので今回も感想だったりを書いてみます。発売記念リリースイベントにも参加したのでその話も少し。1st、2ndの記事は↓の感じ。
1st:久保ユリカさんの『Lovely Lovely Strawberry』の話 - くろろのたのしいブログ(仮)
2nd:久保ユリカさんの『SUMMER CHANCE!!』の話 - くろろのたのしいブログ(仮)
なお、本作には「星の王子様」からの引用が登場するということで、その辺りに特化した記事も別で作成しています。
8月17日発売の2ndシングル『SUMMER CHANCE!!』から約4ヶ月と、早めのスパンでの発売。2月17日には1stシングル『Lovely Lovely Strawberry』が発売されており、2016年だけで3枚リリースとかなりのハイペース。
リリースイベントも1stから3rdまで地方含め開催していて精力的。久保さんは各所で「今年は本当に過ぎるのが早かった」といった内容のことを語っており、充実度合いと忙しさ度合いが伺われる。
本作もこれまでの2枚と同様、表題曲『ありがとうの時間』とカップリング曲『Happy Cuty My Snow Man』の2曲が、それぞれのインストverも含めて収録されている。初回限定版には表題曲のミュージックビデオとメイキング映像が収録されたDVDが封入。
ミュージックビデオはとても見応えがある。ストーリー仕立てになっており、楽曲前後にもミニドラマが挿入され8分30秒に渡るという力の入れ様。女優・久保ユリカとしての顔も垣間見ることが可能です。内容も感動的なストーリーでじんと来ました。ちなみにメイキングを合わせると30分超になり結構なボリューム。
そういう訳で、ここからは表題曲とカップリング曲それぞれに関しての感想と、ミュージックビデオの感想だったりキャプチャ画像だったりそんな感じの記事にしていきます。
ありがとうの時間
2ndのc/w曲『記憶コロコロ』に続き、スムルース徳田憲治さん作詞作曲の表題曲。今回はバラードらしい王道バラード。
「歌いやすかった」とどこかで言っていた通り高音域は少なく、久保さんの地声に近い歌声を聴くことが出来る。サビでかなり高い部分があるけど…。スローな曲調に優しい音色のピアノが心地良く、とても聴きやすい。終盤の盛り上がりも激しすぎず、優しい耳触りの一曲と言える。
歌詞に関してはメッセージ性が強い内容になっている。「失ったときに気付いたんじゃいけない」や「誰の心だって 自分だって 目に見えない」など、言い切り型の力強い表現が各所にあり胸に響きます。こうしたメッセージは、聞き手に対してはもちろん、歌う自分自身にも訴えかけていると思う。
久保さんは、この楽曲に関して「普段伝えられない感謝の想いを『作品』という形で表すことが出来た」と言っています。その相手というのは家族であったり、仕事で関わる人たちであったり、そして彼女を応援しているファンのことでもあったり。
皆さんのおかげで、その後、色々な作品にも出演させて頂く機会も増えました。なので、皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに、現状に満足せず、声優としても歌手としても、さらにいろんなことを経験できたらいいなと思います。
引用:久保ユリカ「ありがとうの時間」インタビュー|「ありがとう」の言葉に浮かぶ顔 (3/3) - 音楽ナタリー Power Push
関わった人すべてへの感謝の想いを忘れない久保さんだからこそ歌える楽曲だと思う。ファンを含めて全ての人を大事にしているし、人気が出ても驕り昂ぶることなく、努力を積み重ねている。「色んな人に支えられて今の自分がある」という意識を常に持っているし、それを誤魔化すことなく言葉にしている。尊敬したくなる人ですね。
そんなメッセージ性の強い歌詞の楽曲ですが、特に、歌詞に登場する「星の王子さま」との関連については掘り下げたいと思ったので、これについては違った角度から別個で記事を書きました。そんな訳でここでは星の王子さま関連については触れてない。
星の王子さま関連の記事についてはこちら↓を参照(貼るの2回目)。
Happy Cuty My Snow Man
曲名の通りハッピーでキューティーで冬っぽい楽曲。クリスマスらしいシャンシャン音や、鉄の棒がぶら下がってるやつ(※1)のキラキラ音に加えて、軽快なクラップ音も入っており、冬と言っても楽しげで暖かい雰囲気に仕上がっている。久保さんの歌い方も楽しげで可愛らしい。
(※1「キラキラ 楽器」でググった結果ウィンドチャイム(windchimes)という楽器だとわかりました。)
(こういうやつ。"鉄が吊るしてあるやつ"改めウィンドチャイム)
クリスマス楽器群の印象が強いものの、この曲の楽しげで軽快なリズムを生み出している立役者はベースだと言える。バスドラ含めてイントロから存在感を放っており、サビではだいぶ跳ねている印象。横に揺れたくなるライン。そんな訳で低音が素敵なので意外と大音量でも映える楽曲になっている。
クリスマスイベント参加後にこの記事を書いてるのでライブでも聴いた後なんですけどこの曲を歌ってるときの久保さんウルトラ可愛いです。
MV(ミュージックビデオ)
『ありがとうの時間』のもう一つの目玉としてはドラマ仕立てのミュージックビデオがある。
久保さん演じる桐島咲さんは、結婚式を控えた一人の女性。そんな咲は、知り合いの女の子との会話をきっかけに、自分自身の過去を振り返る。幼い頃仲良くしていた母親と、思春期にぶつかってしまったこと。仲直りという仲直りが出来ないまま、上京(?)をしてきたこと。その際に、読まずに持っていた母親からの手紙を思い出し……といったあらすじ。
久保さんは図書館の職員に、女子高生に、ウェディングドレスにと様々な姿に扮しており、ファンとしてはかなり貴重な映像になっている。 ドラマということで本格的な演技も見ることが出来て新鮮だった。ドラマ出演経験のある久保さんということで、母親と口論するシーンや涙を流すシーンなど、難しそうなところも上手に演じきっていました。
桐島咲さん女子高生時代。制服姿の久保ユリカさん。別に違和感ないのがすごい。
母親との口論の末にビンタされて睨みを利かせる桐島咲さん。鋭い眼光が迫力があって素晴らしい。僕も睨まれたいです。
『ありがとうの時間』のリリースイベントでは恒例の特典お渡し会が開催され、CDをたくさん買ったのでこれに3ヶ所分参加した。お渡しされる際に久保さんと10秒くらい話すことが出来るが、その際に「MVでビンタされた後の睨みつけてる目が好きです」という気持ち悪いカミングアウトをしてしまった。
久保さんは内心では(気持ち悪いなこの人)と思ってたかもしれないが笑顔で「本当?でもあれちょっと怖いよね」的なことを言ってくれた。もう少し勇気と勢いがあったら「あんな感じで睨んでください」みたいなことを言ってたかもしれないけど、そうなるとだいぶヤベえ奴なので言わなくて良かったと思う。
ちなみにメイキング映像の別カットを見ると、角度の問題もあるのかもっと怖い。怖いよ久保さん!!ちょっとどころじゃないよ!!それでも睨まれたい。
メイキング映像より、ウェディングドレス姿の久保ユリカさん。何がとは言わないがデカい(確信)。このカットはなぜか恐ろしいくらいに逆光である。本編では頭に着けるやつ(語彙)とかレースのやつ(語彙)とかも着けて完全装備のウェディングドレス姿を披露している。非常に美しいです。
最後に、桐島咲のお母さんと桐島咲幼少時代。メイキング映像ではお母さん役の方と久保さんの顔が結構似てるねという話が出ていた。笑った時のあごのラインなどが似ているとのことで、並んで見てみると確かにという感じ。子役の女の子は笑顔がめちゃくちゃ可愛くて素敵でした。
まだまだキャプチャ貼るやつやりたいけどそれで購買意欲を下げてしまうと良くないのでこの辺りで。王道バラードだったり、MVがドラマ仕立てだったりと、これまでとはまた違った趣向で、CD・DVD共に楽しめる内容だった。毎回それまでとは違ったテイストを見せてくれるので面白い。
繰り返しになるけど『ありがとうの時間』に込められたものは大きいと思うので、今後ライブ等で歌われる度に、音源で聴く度にどんどん大切な曲になっていくと思う。アルバムが出たら最後に入りそう。余談だけど機会があればアルバムの曲順予想とかやりたい。
◆参照・関連ページ
音楽ナタリーのインタビュー記事。必読です。